今回ご紹介する記事は、個人的にとても共感できる内容でした。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事の筆者は東京大学工学部長・染谷隆夫氏です。
記事はこんなふうに始まっています。
大学の工学部というと、どんなイメージを持つだろうか。米国シリコンバレー周辺の大学では工学部が人気で、スタートアップを次々と生み出している。多様性のある人材がそれを支える。一方、日本では工学に学問の先端をイメージする若者は多いとはいえない。
最近の進学先を見て思うのは、医学部の突出した存在感。
これは先日すでにこのブログでも採り上げました。
医学部「偏重」と言ってもいいくらい、
できるやつは医学部に行け、という空気感を感じるのは私だけでしょうか。
そもそも、進学先を選ぶときにその先の職業や仕事内容を
具体的にイメージできている中高生はどのくらいいるでしょうか。
私自身もそうであったように、何となく、というイメージで
学部や大学を選択しているケースは決して少なくないように思います。
中高生には様々な学問や仕事を知り、やりたいことや適性を見定めて進路を選んでほしい。そのために大学は、産業界や中学・高校と連携して最新の状況を伝える工夫が必要だ。
この後、記事は東大工学部が取り組んでいる工夫について、
具体的な内容が書かれています。
「工学部のリアル」と題したイベントの実施も、
「メタバース工学部」の設置も、なかなか興味深い内容です。
これらのように、大学が果たすべき役割も当然あるでしょう。
ただ、それだけでいいかと言えば、私はそうではないと思います。
例えば高校での文理選択。
目の前の進学のためには必要なことかもしれませんが、
社会人としての活躍を意識すれば、バランスの良い教養は必須で、
文理いずれも素養を磨いておく必要があるように思います。
記事の筆者もこうおっしゃっています。
文系・理系を早期に分ける高校教育の現状には大きな課題がある。文系選択者が早い段階で数学や先端技術への興味を閉ざしてしまうことの弊害は非常に大きい。例えば今日ではAIやドローンについて知らないと、未来社会を想像することすらできない。企業の経営に携わるにしても、それでは困るだろう。
そして、将来の職業について中高で学べる環境が十分にあるのか、
という点も重要な視点だと感じます。
目の前の学習内容だけでは上がりにくいモチベーションも、
将来の職業と具体的につながっていると認識できれば
学習意欲が高まる、といったことは容易に想像できます。
こういった働きかけが中高時代にはとても大切な気がします。
貴校園では進路開拓についてどのような取り組みがあるでしょうか。
そしてその取り組みは功を奏しているでしょうか。
高偏差値の進学を競うよりも、多様な志向を実現できることこそ、
本来の進路開拓のような気がするのですがいかがでしょうか。
(文責:吉田)