先週はこのブログ、隔日掲載となり失礼いたしました。
本日より以前のペースで再開できればと思っております。
引き続きよろしくお付き合いください。
さて本日の記事は、政策提言のように見えますが、
それだけではない、という指摘だと捉えました。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
教育格差とは、子供本人が変更できない初期条件である
「生まれ」によって、学力や最終学歴といった教育の結果に
差がある傾向を意味します。
日本社会における主な「生まれ」の中身として、
・出身家庭の社会経済的地位(Socioeconomic status=SES)
・出身地域
・性別
が挙げられるそうで、1つめのSESは
保護者の職業・学歴・世帯収入などにより構成されています。
まず、この記事にはコロナ禍により生活が苦しくなったかどうかを
親の最終学歴で分類した調査結果が掲載されています(下図)。
これだけを見ても、教育格差という問題が孕む事の大きさがずしりと響きます。
他の先進諸国と比べると日本の教育格差は小さいという印象論を目にするが、国際比較データをみると、SESと学力や最終学歴の関連の強さは先進国の中で平均的だ。日本は凡庸な教育格差社会にすぎない。
この記事の筆者は、「生まれ」により子供の可能性を制限しない社会を
つくるために何が必要なのか、という点について、
以下の9項目を参議院で参考人として意見陳述していらっしゃいます。
この記事では項目だけを引用しますが、
記事にはそれぞれの説明も付されていますので
ぜひともご覧いただければと思います。
(1) 文科省調査の設計改善
(2) 文科省の調査予算の増額
(3) 教育データの標準化・主要調査項目の共通化
(4) 教育格差の実態とメカニズムを踏まえた政策の提案
(5) 行政データを教育分析に活用する都道府県・政令指定都市に予算をつける
(6) 主要大学における調査研究機能と研究者養成の強化
(7) 教育行政官の増員
(8) 教職課程における『教育格差』の必修科目化
(9) 現職の教育関係者を対象とした『教育格差』研修の必修化
教育格差を是正するために必要なことの多くは
行政施策や法整備によるところが多い、
というのはひとつの事実でしょう。
ただ、9つの項目のうち、最後の9番目については
現場での取組みや意識が重要であることを示しています。
平均的に高SES家庭出身で学校教育に忌避感を覚えず大学に進学し教職を選ぶ層は、恵まれぬ家庭の子供と同じ経験を持たない傾向にある。不利な「生まれ」の子供たちがどんな経験を重ねて学習や進学に困難を感じるのかを知ることは、教師として子供たちに伴走する際の手助けになるはずだ。同様に体系的な教育格差の研修は、現職教員、学校管理職、国と地方の教育行政官にとっても有益な視点を提供することになる。
学校教育が社会の不平等をなくしていくための
大きな役割を担っている気がしてなりません。
私たちが忘れてはならない視点と言えるのではないでしょうか。
(文責:吉田)