先月末の地裁判決です。
大きく報道されましたので、すでに内容はご承知かと思いますが、
改めて。日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
長時間労働を強いられ適応障害を発症し休職を余儀なくされたとして、大阪府立高校の現職の教諭が府に損害賠償を求めた訴訟の判決が(6月)28日、大阪地裁であった。横田典子裁判長は「(学校側は)長時間労働が健康を害するような状態だったことを認識しながら、負担軽減策を講じなかった」として、請求通り約230万円の支払いを命じた。
結論を先に確認しておきますと、大阪府は控訴しないことを決めており、
この判決はすでに確定しています。
判決理由と事実認定について、記事には以下の内容が書かれています。
- 教諭の勤務状況について適応障害を発症するまでの半年間、1カ月あたりの時間外勤務が100時間程度に達していた→「健康を害する程度の強度の心理的負荷があった」
- クラス担任や部活動顧問などの業務に加え、生徒の海外語学研修の準備に追われていた→「質的にも過重だった」
- 教諭はメールで「もう限界です」などと繰り返し体調不良を訴えていた→「校長は事務の分配を適正にするなど健康を害しないよう配慮すべきだった」
- 校長の対応は声掛けや面談にとどまった→追い詰められた状態を認識しながら抜本的な対策を取らず「発症に至った」として安全配慮義務違反があった
- 府側は教諭の時間外勤務は「自主的なもの」で自ら調整すべきだったと主張→「自主性の尊重と労務管理は別の問題」
上記の内容から、ぜひとも貴校園で確認しておきたい事柄が浮かび上がります。
まずは時間外勤務の実態について。
長時間労働が常態化している、あるいはその程度が大きいといった
実例があるかどうか、きちんと把握しておく必要があります。
さらには、その労働の中身が何であるのかも把握しておかねばなりませんね。
そして、学校側のマネジメントについて。
長時間労働者に限らず、すべての教職員の勤務状況や健康状態について、
問題が起こっていないか、問題が起こっているのであればその対処、
そして今後に向けて問題が起こりにくくなるような管理を、
企画し実践していくことが必要でしょう。
加えて、労使のコミュニケーションについて。
追い込まれている教職員は、軽い声掛けだけで救われることも
きっと多いことでしょう。管理職は都度様子を見て、気にかけて、
声をかけていくことが大事に至らないための重要な行動になる気がします。
そして、特に教員には「自主的」「個人が勝手にやっている」
という活動がみられることがありますが、
それは労務管理が適切に行われたうえでなければ認められない、
例えば残業申請等の整備をするなどして、
業務命令の有無を客観的に証明できるようにしておくことが
重要であることも今回の判決から見えてきます。
貴校園が職場として働きやすいものであるように、
労使ともに、納得感のある職場づくりをしていきたいですね。
(文責:吉田)