高校での金融教育について、どのようにお考えになりますでしょうか。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
2022年度から高校の家庭科で金融教育が本格的に行われるようになることもあり、昨今話題になることが多い。その背景には民法改正で成人年齢が引き下げられ、18歳から金融取引を自らの判断で行うことができるようになることがある。
一方、実際に金融教育を行う現場では戸惑いの声も多いようだ。メディアの論調も18歳で成人になるとしても金融取引は慎重に行うべきだとの意見が多いように見受けられる。
教育内容に関しては誰もが一家言持っているものですが、
金融教育に関しても賛否両論、いろいろなご意見があると感じます。
上記の通り、現場ではおそらく戸惑い、あるいは困惑という受け止めが
多いかもしれませんが、それは18歳での取引云々というよりも、
教える側が十分な知識や経験を持たないことによるものである可能性も
あるのではないか、と感じています。
この記事では、日本の金融教育の歴史について触れていますが、
それによりますと、戦後から行われてきた金融教育の基本的発想は
「お金を節約して銀行に預けさせる」ことが目的になっていて、
むしろ余計な資産運用を行わせないための洗脳活動の側面もあった、
と指摘しています。
そしてその背景には、銀行がリスク転換機能を発揮していたことがある、
とのこと。
銀行は貸し出しもするし、株式持ち合いを含め株式保有もする。デット(負債)とエクイティ(資本)一体で、企業価値を包括する金融仲介を実現していた。
従って銀行にお金を預けさえすれば「貯蓄から投資」を事実上実現できるマクロ構造にあった。しかし今日、企業は資金余剰に転じ、銀行は株式を一方的に売却する。銀行に預けた資金の多くは日銀当座預金や国債購入に向かい、リスク転換機能の不全が懸念されている。
金融機関が以前のような機能を果たさないとすれば、
家計がリスク資産に直接資金をシフトさせる必要が生じ、
そのためには運用の指針となる一定の教育も不可欠になる、
という流れがあることを各校園でも認識しておく必要がありそうです。
英語教育の低年齢化、情報の教科化、プログラミング教育…
学校で教えねばならないことはどんどん増えている印象です。
教育の専門機関としての学校はまさに「広く深く」を求められる、
酷な状況と言えるかもしれません。
さて貴校園はどのように今後の教育内容を整え、体制を整備していきますか。
年度替わりのこの時期に、ぜひとも考えてみたいテーマです。
(文責:吉田)