私学ガバナンスのしくみに関する審議、続報です。
大筋固まったとのことですが、
以前の結論とは着地点に大きな開きがあります。
日経新聞より。
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私立大などを運営する学校法人のガバナンス(統治)改革を議論する文部科学省の特別委員会は17日、理事会の権限を一部縮小する仕組みを導入すべきだとする報告書案について議論を進めた。大筋で合意したが理事と評議員の兼務を禁じる内容に反論が上がったため、再度会合を開き協議することとした。
上記記載が要点を示してくれていますが、まずもって留意したいのは、
文科省の「学校法人ガバナンス改革会議」が昨年末にまとめた、
【評議員会を「最高監督・議決機関」に格上げする】
という案は大幅に修正される見通しになった、という点です。
現状の報告書案は、
- 合併や解散など法人の基礎に関わる重大事案に限り、評議員会の承認を必須とする
- ただし小中高校については活動範囲が限られるため、各法人の判断に委ねる
- 理事の選任や解任を行う「選任機関」を運営規則で明確に示す
- 評議員会に理事の解任請求権を与える
- (現在は認められている)理事と評議員の兼任を禁止する
という内容になっているようです。
ただし、最後に挙げた兼任禁止については、
「小規模法人は負担が大きいため、中学や高校など
都道府県知事所轄の学校法人には適用しないでほしい」
と意見が出たため結論がまとまらず、
本日(22日)に予定されている会合で改めて話し合うとのことです。
気になる法案成立に向けてのスケジュールですが、
文科省は特別委の報告書をもとに私学法改正案の条文化作業を進め、
今国会での法案提出を目指していると記事に書かれています。
理解を深めるために、上記記事の前日に、同じ日経新聞に掲載された
記事と図を引用しておきます。
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私学のガバナンス強化を正面から考える際に、
この結論が妥当であると考える関係者はどのくらいいるでしょうか。
今回の改正案においては、
会社法を軸とした既存の法令に影響を受けすぎた結果、
学校法人という特徴を踏まえた制度設計から
結論が遠のいてしまった印象もあります。
類似の例を探るだけでなく、学校法人があるべき姿から
ガバナンスを考えてみることが重要な気がいたします。
ともあれ、法規制の全体像は見えてきたようです。
各校園ではこのことを踏まえ、体制づくりに活かしていただければと思います。
(文責:吉田)