興味深い統計の分析記事がありましたのでご紹介します。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
働きやすさのジェンダー格差が根強く残っている。日本は仕事を持つ女性の比率が結婚・出産期に落ち込む「M字カーブ」がなだらかになる陰で、労働時間は二極化したままだ。女性はフルタイムと短時間の2つの山による「もう一つのM字カーブ」が浮き出る。性別によらず能力を発揮できる環境を整えなければ人口減少による成長力の低下に拍車がかかりかねない。
労働力に関する「M字カーブ」をご存知でしょうか。
説明は上の引用部分に書かれているとおり。
新卒での就職率は男女で差がないにもかかわらず、
その後の結婚と出産で一気に労働参加率が下がり、
それが再び家庭環境の変化で上がっていく、という流れをたどるために
グラフの形状がM字になってしまうのですね。
そしてこれが解消されてきているという事実もご存知でしょうか。
下の図を見るとまだ若干の落ち込みはあるものの、
以前に比べれば確かに落ち込み方は緩くなっていますね。
ところが、別のM字カーブがある、とこの記事は指摘しています。
性別による差がなくなったわけではない。労働時間の分布からは、なお残る社会のひずみが見て取れる。20年に男女ともに最も多い就業時間は週40~48時間だった。男性で46%、女性で32%を占める。次いで多いのは男性が49~59時間(14%)なのに対し、女性は15~29時間(26%)に1~14時間(14%)が続く。
これも下のグラフが分かりやすく示してくれています。
週5日勤務で計算しますと、
男性は1日8時間以上働く人が就業者の7割を占めるのに対し、
女性は4割にとどまっているそうです。
この要因は、女性に非正規雇用が多いことで、
30~34歳の人口に占める正社員の割合は男性が74%、女性が44%で、
この差は年齢が高まるほど広がり、
45~49歳では男性が72%、女性が32%とその差は40ポイントです。
厚生労働省の調査で、女性が正社員以外で働く理由として最も多かった回答は「家庭の事情と両立しやすい」(41%)だった。10年に子供が生まれた世帯を追跡すると母親の常勤比率は出産を挟んで38%から25%に下がった。この数字は10年たっても3ポイントしか戻らなかった。逆にパート・アルバイトの比率は産前の19%から42%に拡大した。
「日本は正社員で働く負担があまりに重い」と日本女子大学の大沢真知子名誉教授は指摘する。日常的に残業があり、定時で帰れることは少ない。キャリアパスとして定着してきた国内外の転勤は家庭生活との両立が難しい。そのしわ寄せが女性に偏る。「家事、育児は女性が担う」という古い役割意識も残る。
私学も職場のひとつとして、性差によらず、
職業と家庭との両立を果たせる環境になっているでしょうか。
根本的な働き方改革が難しい職場である、
という先入観を持ってしまうと、
教員不足はますます深刻になるかもしれません。
ひとつの観点として、どんな人にとっても働きやすい職場とは、
という問いを自らの組織に投げかけてみてもいいのではないでしょうか。
(文責:吉田)