いよいよ入試の季節です。
入試は学校と学生が、お互いを選ぶ大切な機会。
新しい入試の形について実例を見ておきましょう。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
知識の量より思考力や表現力を評価する「探究型入試」を導入する大学が増えてきた。従来の総合型選抜(旧AO入試)は課外活動なども評価対象だが、探究型入試は調査・発表など教科学習の応用力を純粋に評価する。来年春から運用の始まる新しい学習指導要領では探究学習が取り入れられ、こうした学びに注力する学生を大学のリーダーとして獲得する狙いもある。
この記事で紹介されているのは、産業能率大学の入試問題。
「みなさんは、今、2040年2月17日の日本にいるとします」
という文から始まるこの問題、
架空の村「未来村」の歴史を記載した課題文や図表を読ませ、
存続の危機に陥るに至った分岐点や、どのような施策を採るべきだったか
などを考察させるものとなっています。
しかもこの入試、会場にスマホなどの持ち込みを認めています。
大学入学共通テストの3教科の得点率が50%を超えるなど
一定の学力を要件とはしていますが、
受験生は政府統計や辞書などの情報を参考にしながら論述するもので、
単なる知識を問うものではなく、
それを活用することを問う入試になっています。
また別の実例として、桜美林大学は2022年度入試から
「探究入試 Spiral(スパイラル)」を始めるとのこと。
探究学習の報告書などを提出し、2次審査でプレゼンや質疑応答を計約25分実施。
教科学習で培った探究力を評価する入試となっています。
個人的には、入試は多様であっていい、と思います。
特に私学においては、それぞれに建学の精神や教育理念があり、
それを見据えた学生や生徒に来てもらうことが重要なはずで、
だとすれば入試もそれに見合ったものを、という考え方です。
ただ、記事にはこんな意見も。
各校が特色のある入試を打ち出すのに対し、高校教員からは複雑な思いもにじむ。都内の中高一貫校の教諭は「多様な生徒が大学で学ぶ機会が増える」と評価する一方、進学実績の観点から「探究力に秀でた学生であっても、まずは早慶など難関大の総合型選抜を勧める」と話す。今後は探究力の高い学生の奪い合いになる可能性も高い。
さて、今後大学入試は、そして高校入試はどうなっていくのでしょうか。
各校園がポリシーを持ち、それが実現できるような入試が
増えていくことを大いに期待したいと思います。
(文責:吉田)