記事のタイトルもどうかと思うのですが。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
あらゆる仕事の報酬を調べて統計データとして提供する専門サービスが急伸している。日本の大企業の間にも、仕事の内容によって報酬を決める「ジョブ型雇用」が広がってきたからだ。一人ひとりのスキルや職種の需給に応じた報酬相場は、年功序列で昇給の階段を上がってきた「もらいすぎ中高年」をあぶり出す。労働市場の地殻変動は止まらない。
報酬額、給与額が適切な水準かどうか、というのはなかなか難しい問題ですから、
そこに客観的な評価を期待したいと考えるのは自然かもしれません。
最近はそのようなサービスが活用されているとのことで、
結果、中高年の報酬水準が高すぎるのでは、という点が顕在化してきたようです。
「賃金テーブルに年功色が残っていては若手の意欲は高まらず、外部の優秀な人材も引き寄せられない」。最近、ジョブ型雇用に大きくかじを切った大手メーカー幹部は断言する。「外部の相場を反映しなければ働き手を満足させられない。算定根拠があいまいなお仕着せの賃金は通用しない」
昨今、私学においても賃金制度を改めたいというニーズは強いと感じます。
実際、ここ数年で弊社に寄せられるご相談も増えています。
その際、必ずと言っていいほど問題になるのが、
若手とベテランのバランスをどうするか、という点です。
若手は負荷の大きい役割や業務を担うことが多く、
それに見合う報酬を望むのはある意味当然なのですが、
ベテランは「昔我慢したのだから、今その分を取り返すのが筋」
という意見を堂々と?おっしゃることも多く、
世代間のギャップを埋めることはそう簡単ではありません。
そんなベテラン層には冷や水になってしまうかもしれませんが、
今回の記事にはこうあります。
日米の賃金カーブを比べると、米国は給与水準のピークである45~54歳の中央値が25~34歳より2~3割高い程度。これに対して日本は3~4割ほど高い。
米国のようなジョブ型に移行すれば部下のいない名ばかり管理職らの「もらいすぎ」に下方圧力がかかる。20年に賃金体系を刷新した不動産会社は「中高年の中には今後3~4年で給料が3割程度下がる人も出てくる」と明かす。
そしてこのように中高年への風当りが強まった理由として、
高齢者の雇用継続義務の影響は大きい気がします。
高齢の雇用者が増えることで、雇用側の負担は大きくなります。
下のグラフを見てもその傾向は明らかでしょう。
みずほリサーチ&テクノロジーズの20年の試算では、企業が負担する65~69歳の従業員の人件費は2040年に6兆7000億円と19年比で3割増える。しかし、ひとつの企業で総合職として部署を異動しながらキャリア形成してきた一般的なホワイトカラーに、コストに見合う働きを期待できるか疑問視されている。
国の社会保障を補完するためのこうしたコストをどこから捻出するか。解雇規制の厳しい日本では、大半の企業にとって「もらいすぎ中高年」の賃下げが有力な原資のひとつになる。デジタル技術の進展などで事業環境が変わり、中高年と若手の働きぶりと賃金カーブの不一致も大きくなっている。
今後の賃金制度において、この話題は重要な論点になる可能性が高いと思われます。
貴校園なりの考え方の整理が必要ではないでしょうか。
(文責:吉田)