私学法のさらなる改正が検討されています。
ここへきて急展開?を見せているこの事件が
強く影響していることは間違いありません。
日経新聞より。
日本大学付属病院の医療機器調達を巡り、大学理事長の側近とされる元理事らが16日、大学側に2億円近い損害を与えたとして背任罪で追起訴された。事件が表面化した9月以降、大学側は記者会見などを一切開かず、被害届の提出も保留している。専門家からは「統治不全に陥っているのでは」との声が上がる。
上記記事が挙がったのが先月16日。
そしてその後、理事長に捜査の手が及び、
直近ではこのような記事が挙がっておりました。
日本大学は3日、所得税法違反(脱税)容疑で東京地検特捜部に逮捕された田中英寿前理事長(74)の理事職を同日付で解任したと発表した。3日に開いた理事会で、田中前理事長に対する解任決議案が可決された。
自浄作用が全く働かなかった今回のケース。
遅きに失したとはこのことでしょう。
大学に関わりを持つ在学生や同窓生、教職員の皆さんの
心中いかばかりかと推察に堪えません。
社会の財産を私物化し、それが露呈してもその誤りを認めず、
外部からの大きな圧力によってようやく重い腰を上げたものの、
未だその説明や謝罪すらしていないというのは本当にお粗末です。
(どこかの国の政治でも見たことがあるような気もしますが)
そして、こういったことが起きないように、という趣旨なのでしょう、
私学法の改正がおそらくなされることになりそうです。
同じく日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
私立大学では近年、日大以外でも不祥事が相次いでいる。文部科学省は学校法人のガバナンス(統治)強化を進めており、現在は理事による権限乱用を防ぐ仕組み作りが焦点になっている。早ければ2022年の通常国会に私立学校法の改正案を提出する方針だ。
確かにここのところ、私立大学をめぐる事件が数多く発生しています。
ただ、2020年4月には私学法が改正されたばかりで、
このときには学校法人理事に法人に対する損害賠償責任があることが
明記されました。
現在議論されているのは、評議員会に理事の人事権を持たせる内容で、
理事会に対する牽制機能を強化することでガバナンスを利かせたい、
ということのようです。
不祥事が起こると、それに対する規制強化が議論されること自体、
やむを得ないことかもしれません。
ただ、その議論が果たして妥当なものなのか、少し疑問も感じます。
弊社が関わっている私学は中高法人が圧倒的に多いのですが、
例えば小規模の高等学校法人において、
評議員会にそのような権限を持たせることが
本当にガバナンス強化につながるのでしょうか。
また評議員には理事や教職員を就かせない、
といったことも議論されているようですが、
そうなると具体的な人選をどうすればいいのでしょうか。
学校法人にも多様な規模のものが含まれていますから、
それを十把一絡げするのは無理があるように思います。
もっと丁寧な議論がなされることを願うばかりです。
(文責:吉田)