寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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遠隔を規制 世界に劣後

日経新聞の連載「教育岩盤」から、

本日はオンライン規制についてお届けします。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

コロナ禍で一気に進んだ感のある、教育現場のデジタル化ですが、

それを阻んでいるひとつの要素が「遠隔授業の上限コマ数」です。

記事は大学に関する内容ですが、これは初等・中等教育においても

同じような規制が存在します。

 

規制は多少緩和されたとはいえ、十分ではないと言えそうです。

大学での規制の問題点について、この記事に登場する中室牧子氏は

こうおっしゃっています。

 

「第1に対面授業の割合を定める国はそう多くない。

 大学は国際的な市場で活動している。

 オンラインなら時差がない国の大学の授業は普通に取れるから、

 国際競争は一気に激化する。慶応のライバルは早稲田だけではない。

 海外の有力大学も競争相手だ。国内事情だけを配慮し、

 変な規制を残したら国際競争に負ける。絶対にだめだ」

「第2にここまでオンラインが普及すると、60単位上限のために運用が難しくなる。

 文科省の規制では1学期15コマの授業のうち、8コマが対面、

 7コマがオンラインなら対面授業とみなす。

 ではハイフレックスのように対面でもオンラインでも受講できる授業は

 どう扱うのか。規制が現実についていけない」

 

オンラインでは学習が不十分になる、という意見も現場には根強い一方、

中室氏は、実験や実習、ゼミなどの少人数授業で対面の価値は非常に大きい

としつつ、大規模座学型授業はオンライン中心になるだろうと指摘。

多くの大学で学生のオンライン授業への満足度は低くなく、

学習効果にもほとんど差がないという結論が多いとおっしゃいます。

 

そして、経営上も気になるのが、学校に行くということの価値を

どう見るか、という点です。

少し長くなりますが、中室氏の言葉をそのままご覧いただきたいと思います。

「設置基準の議論で最後に残る課題の一つが通信制と通学制を区別する意味だ。

 場合によっては一体化も必要と思うが、強い反発は必至だ」

「通学制は通信制よりも学費が高い。2つを一緒にするのは

 学費設定の問題と深く関わっている。

 米国の大学は収入の多くが寄付金や資産の運用収益などで

 学費の割合は高くない。

 日本は学費が非常に大きな収入源で、学費に関わる改革は難しい」

「最終的に学費は単位従量制になるだろう。

 1年間いくらではなく1単位いくらという形だ。

 実行会議の委員が『大学はアマゾン・ドット・コムのようになる』

 と指摘していたが、正しいと思う。アマゾンで物を買うように

 授業をカートに入れ、お金を払ってオンラインで受講する。

 大学のプラットフォーム化だ」

 

今後を見据え、学校の価値について改めて考えてみたいですね。

 

(文責:吉田)

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