昨日に続いて日経新聞の連載、「教育岩盤」からのご紹介です。
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デジタル技術の進展や新型コロナウイルス禍で社会が激変するなか、戦後間もなくできた教育制度では時代に対応できる人材の育成は難しいとの声が出ている。秋入学の小中高一貫校設立をめざす玉川学園(東京都町田市)の小原芳明理事長は「危機は変革の好機。何もしないと社会に取り残される」と指摘する。
玉川学園は9月入学(秋入学)の小中高一貫教育校を構想しておられます。
社会の変化とともに、学校も変化する必要があると、
小原氏はこんなふうにおっしゃっています。
「仕事のやり方が変われば大学の学びも変わる。
大学に卒業生の半分を送り出す高校も変わらざるを得ない。
そうすれば小中学校も変わる。
高速通信規格の5Gが普及し遠隔学習がしやすくなれば
登下校に費やす時間も減る。指導法も時間の使い方も変わる」
「その時代に教育体制はこのままでいいのか。
ほとんどの子が高校まで進学する時代に6・3・3で区切る必要があるのか。
我々の答えは修得主義への転換、年齢にとらわれない
学年指定を取り入れた小中高一貫教育校創設と9月入学だ」
私自身、最近読んだ本にはいわゆる「履修主義」の問題点を
指摘する内容をよく見かけます。
確かに、現在の子どもたちの状況を見るにつけ、
履修主義を続けるのは難しい、修得主義に変えていく方がよい、
というご意見も一理あると感じることが多くあります。
小原氏はこのようにおっしゃいます。
「小中高を一つにし修得主義を導入すれば中・高の入試が不要になり、
学習内容の組み替えや先取りもできる。
時間を受験対策でなく基礎学力獲得に使える」
「9月入学は学年の切り替わりが約3カ月の夏休みになる。
学校が教育内容を検証し質改善にじっくり取り組めることも長所だ。
大学が9月~6月の学事暦になれば、長い夏休みに学生が
インターン(就業体験)もできるし、海外大のサマースクールにも行ける。
学びの機会が広がる」
社会の枠組も関係するとても大きな課題ですが、
こうやって立ち向かう私学が存在することを頼もしく思います。
小原氏のインタビューはこう締めくくられています。
「この改革は公立学校ではリスクが大きい。児童生徒数が少ない私学が実験すべきだ」
(文責:吉田)