以前もご紹介した、日経新聞の連載記事「教育岩盤」。
本日からしばらくの間、この連載からご紹介します。
どれも興味深い内容です。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
今回の記事はインタビュー形式。
日本電産・永守会長のご登場です。
永守氏は現在、京都先端科学大(KUAS)の経営も担っておられます。
同大の工学部新設では文部科学省の認可が遅れたのですが、
このことについて永守氏はこうおっしゃいます。
「産業界は公平公正な競争原理が働き、企業はどんどん改革を進められるが、
大学は文部科学省が許認可権を握っている。
審査の過程では重箱の隅をつつくような質問をされて苦労した」
そして、大学改革で最大の障壁は何かと問われ、こう答えておられます。
「根強いブランド主義だ。競争原理が働かない。
友人の孫がKUASに入りたいと言ったら、親や祖父母がブランド校ではない
と猛反対した。本人も何をしたいのか定まっていない」
永守氏の強みは、実業界で人材を多く見てきておられること。曰く、
「新卒者を1万人採用してきたが、ブランド大と非ブランド大で
能力に何の関係もない。それなのに親はブランド大を目指して
子どもを小学校から塾へ行かせ、夜遅くまで勉強させる。
大学に入る時はエネルギーを使い果たしている。
これでは創造力もコミュニケーション能力も育たず、グローバルで通用しない」
「採用する企業側もブランド主義だ。その方が安心だからだ。
社会が求める学生を送り出す方向に、家庭も学生も企業も考えを変えるべきだ」
ここ日本でずっと受け継がれてきた価値観のひとつがこの学歴志向ではないか、
と私も感じます。
実際に社会に出ると、学歴はその他の個性や属性と同じ、
あるいはそれよりも優先度の劣る特徴のひとつでしかないにもかかわらず、
なぜかそれを崇拝する社会、価値観が根付いています。
これを変えるのは実に大きな労力が必要だろうと思います。
一方で、その価値観を逆手に取るように、
数年の改革によって学校の立ち位置を大きく変えた学校もみられます。
変わろうと強く思うこと、そしてその方向に歩みを進めることが、
ありたい姿を実現させてくれるのだとも思います。
貴校園はなりたい姿に近づいていますか。
できない理由を探すのではなく、できる方法を探すのです。
着実になりたい姿に近づけるよう、心から応援しております。
(文責:吉田)