先月のニュースですので、すでにご承知のことと思いますが、
改めて取り上げておきたいと思います。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
今春入学者が定員割れした四年制の私立大は46.4%に当たる277校で、前年度より15.4ポイント(93校)増えたことが(9月)28日、日本私立学校振興・共済事業団の2021年度調査で分かった。前年度まで4年連続の減少だったが、大幅増に転じた。私立大の定員全体に占める入学者の割合を示す定員充足率は2.8ポイント減の99.8%で、1999年度の調査開始以来初めて100%を下回った。
ここ数年の傾向が大きく変わった、と報じているのがこの記事。
下のグラフを見ても確かにそのことを強く感じます。
この調査は、募集停止中などを除く全国597校の5月1日時点のデータが
集計されたものです。
当然のことながら、定員割れというのは実員が定員を下回ることを指します。
具体的なデータを確認しますと、実員が減っていることに加え、
定員が増えていることも要因のひとつになっているようです。
全体の定員が約4千人増えた一方、18歳人口が約2万6千人減となり、総入学者数は約9600人減った。事業団は(1)18歳人口の減少幅が大きくなる節目の年だった(2)新型コロナウイルスの影響で留学生が減った――など複数の要因が重なって定員割れが相次いだとみている。今後も進む18歳人口の減少は私立大の経営を直撃するため、再編が加速する可能性がある。
ちなみに、定員充足率を規模別にみると、
定員3千人以上は99.9%で前年度とあまり変わらなかったものの、
300人以上400人未満で9.2ポイント減(95.2%)となるなど、
小規模校で大きく下落する傾向が出ています。
また地域別では、三大都市圏で100.6%だったのに対し、
その他の地域は6.2ポイント減の97.3%と大きく落ち込んでいます。
施設設備の維持、さらには教職員の雇用維持を考えれば、
そう簡単に定員を減らすという選択ができないのはよく分かるものの、
定員の維持に固執することで、かえって教育の質が落ち、
そのことが学校のブランドに傷をつけ、さらに学生数を減らす…
といった負のスパイラルに陥るのではないかと気が気ではありません。
定員減は簡単に判断できないからこそ、中長期を見据えた
教育機関のあり方を早めに考えておくことが重要でしょう。
ちなみに、私立短大(286校)の定員割れは83.6%(9.7ポイント増)。
全体の充足率は82.6%となっており、さらに厳しい状況です。
今回の記事の中心は大学ですが、その他の学校種もぜひ、
将来に向けた「あるべき定員」について、早急にご検討いただければ幸いです。
(文責:吉田)