ひと月ほど前の記事になってしまいますが、ご紹介いたします。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
「本当は医学部に行きたいんですが、学校の担任から東大を目指すように強く言われています」。教え子のA男が面談で打ち明けた。昨年の秋のことである。
(中略)
A男の相談には驚いた。大学受験は受験生が進学したい大学・学部を受けるものであるはず。親が開業医で、跡を継ぐために医学部を目指すなど親の意向が反映されることも多いが、学校の先生に志望校を「指定」された例は初めてだった。
最近は医学部の合格も大々的に「成果」として公表されるケースが多いですが、
この記事がそんなことを言おうとしているわけではないことは分かります。
志望校、そして合格は誰のものなのか?
これは学校に関わる私も常々思っていることです。
もちろん、それは受験生本人のものであることは間違いないのですが、
ともすると学校や塾が先回りをしてしまい、
特定の学校(≒有名校)への進学を「誘導」する、
あるいはこの記事にあるように「指定」までしてしまいかねない、
と感じます。
ただ、この問題は学校にそれをやめなさいと言えば是正されるものではない、
とも思います。
なぜなら、合格実績を少しでも良く見せたいと思う学校が多いのは、
それを指標にして志願先を決める家庭が多いことの裏返しだからです。
特に保護者のこの考え方が変わらない限り、
学校は進学実績を追い求め、結果として子どもたちの進路が歪められてしまう、
というバッドサイクルは回り続けるのです。
進路開拓は人生においてとても重要です。
しかしそれは特定の学校に行くことではないでしょう。
もちろん、偏差値の高い学校を目指し、合格を勝ち取ることで、
その先の人生が開けることもあると思います。
しかし、そうでないこともありますよね。
なのに、偏差値の高い学校に進むことが目的化していることに、
そろそろ気付いても良いのではないか、と思います。
多様性が重視される社会をつくるためにも、
学校選びの尺度がもう少し多様化するよう期待したいと思います。
貴校園でもぜひ、進路を幅広く捉えていただき、
子どもたちの進路開拓を純粋に応援していただければ幸いです。
(文責:吉田)