寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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大学進学のリターンは約10%

タイトルに「?」となった方もいらっしゃるでしょうか。

私も「?」となりました。その意味は。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

この記事は日経新聞で連載されている、

「教育への投資を考える」というシリーズの2回目の記事です。

このシリーズの初回で筆者は「教育は人的資本への投資」と説明されています。

投資であるなら、理屈の上ではその回収、リターンを考える必要があります。

今回の記事では4年制大学への進学を例に、それを考えておられます。

 

大学進学は大卒の便益と大学進学の費用を勘案して決定されます。大卒の便益は、高卒で働いた場合と大卒で働いた場合の給与差で、大学進学の費用は直接費用と機会費用です。直接費用は4年間の学費や生活費などで、機会費用は高卒で4年間働いた時に得られたはずの給与です。大卒の便益が大学進学の費用を上回れば、大学進学を決めると考えられます。

 

ふむふむ、コストとリターンのイメージはわきました。

「(直接費用+機会費用)×リターン率=大卒生涯賃金-高卒生涯賃金

ということでしょうかね。

 

今回の記事では、ここから実際の計算が始まるのですが、

今日のブログはいつも以上にせっかちに(笑)、

結論をお伝えすることにしましょう。

 

教育のリターンは3つの方法で計測します。1つ目は進学前に決まる要因を可能な限り統計的に制御する方法です。この方法で筆者が計測したところ、日本における教育のリターンは8~10%でした。

2つ目は遺伝的に同じ性質を持つと思われる一卵性双生児のデータでの分析です。中室牧子慶応大教授らは、独自調査で教育のリターンを4.5~9.3%と推定しました。

3つ目は個人の進学意思とは無関係に進学の費用が変化する状況(自然実験)を利用した分析です。菊地信義一橋大講師は、出身地の大学定員や学費の変化を利用した分析で、大学教育のリターンは約9%であると報告しています。

 

これらの結果から、筆者は

「いずれにしても教育への投資は、1年当たり約10%のリターンを生む」

と結論付けています。

個人的には2つめの検証が正確さの観点からより妥当なのでは、

とも感じましたが、そうなるとリターン率は少し下がりそうです。

 

ただ、教育の成果は給与のみで測れるものではありません。

今回の記事は教育の効果が経済的にも一定の影響があることを

示してくれたものとして歓迎しつつ、非経済的要素を含め

豊かな人生を送るために大切な投資であることを、

教育に携わる私たちが身をもって証明していきたいですね。

 

(文責:吉田)

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