必要性に関しては一定の理解ができますが、
議論はまだまだ煮詰まっていないようにも感じます。
日経新聞より。
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10兆円規模を目指す政府の大学ファンド(基金)が運用開始に向け動き始めた。今秋までに基本方針を決め、2021年度内にも運用を始める。実質的な運用利回りは年3%を目標にする方向で調整するが、運用益を大学の研究支援に充てる計画には課題も多い。
このファンドの目指すところは「国際競争力の強化」だそうで、
厳しい財政の中でも研究等に充てられるお金を確保しようという
意図自体は重要だと感じます。
が、このファンドの運用利回りの目標は上記の通り3%。
相当程度のリスクを取らなければ達成できない水準です。
ちなみに、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は
賃金上昇率プラス1.7%となっています。
これから決める資産構成の目安(ポートフォリオ)では国内外の上場株式の比率が債券より高く、将来的に未公開株に投資するプライベート・エクイティ(PE)も増やすことを検討している。
伝統的に債券は安全資産、株式投資はリスクがあるとみなされてきた。新型コロナウイルス禍のなか、先進国の株価は上昇している。資産バブルとの見方があり、高値づかみの懸念もある。
海外の大学では2桁の利回りを稼ぐこともあり、
その幻影もちらつくところではありますが、
その主な財源は卒業生らの寄付金であり、
公的資金を財源とする日本の制度で万一大きな損失が出たらどうするのか、
そのあたりのことは不透明なままです。
そして根本的に、国策としてもっと教育研究にお金を優先的に回せないのか、
という点も気になります。
リスク資産で稼いだものを使って先進的な研究を、
というのは財布を握る側のやや傲慢な考え方ではないかとも感じます。
教育は未来への投資。安定的に運営できる基盤を作るのが
国の本来の仕事なのではないでしょうか。
さて貴校園の収入源は順調に確保されているでしょうか。
納付金や補助金の確保が難しくなっていくであろう中で、
今回の話と同様に、リスク資産を用いて運用益を、
という動きもこれから活発になってくるかもしれません。
その際にはぜひ慎重に、リスクへの十分な配慮を行ったうえで
ご検討いただき、使途にもご留意をいただければと思います。
(文責:吉田)