寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校の中のジェンダー 個人の可能性に制約

先週は少々長い記事が続いてしまいました。恐縮です。

今日の元ネタもかなり長い記事なのですが、

大切なテーマですので、しっかりお届けしたいと思います。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

本日ご紹介する記事の筆者は、宮崎公立大学の寺町晋哉准教授です。

 

世界経済フォーラムは3月、経済・教育・健康・政治の4指標で各国の男女格差を測った「ジェンダーギャップ指数」を発表した。日本は156カ国中120位だが、教育分野に限ると92位に上昇する。

 

私も私学に関わるという仕事の中で、これまでの職業経験の中で感じた

ジェンダーギャップを感じることは正直少なくなった、と思います。

学校教育は制度的に男女平等ですし、

さらには給与水準も統計上は男女別で調査されていますが、

関らせていただく私学において給与に男女差があるケースはゼロです。

 

ところが、少し掘り下げていくとすぐに男女格差が見えてきます。

筆者は「学校管理職」と「大学進学」を採り上げておられます。

本ブログでは主に前者についてご紹介いたします。

 

女性の学校管理職(校長、副校長・教頭)は非常に少ない。2020年度の学校基本調査によると副校長・教頭の女性割合は小学校28.7%、中学校14.8%、高校(全日・定時)11.2%。校長はそれぞれ21.8%、7.5%、8.4%で特に中高の割合が低い。

 

ちなみに、経済協力開発機構OECD)が2018年に実施した、

国際教員指導環境調査(TALIS)では、

中学校段階の女性校長の割合は平均47.3%。1桁は日本とトルコのみです。

 

こうした実態は男女格差の点だけでなく、「校長は男性」というステレオタイプを子どもが知らずに身につける。女子や女性教師のロールモデルが少ないといった点からも改善の余地がある。

 

ちなみに、女性管理職の割合は全国同程度ではなく、

小学校については下図のとおりとなっています。

広島、石川、神奈川は小学校に通う間に2~3人の女性管理職と出会う可能性があり、

山梨、長崎、宮崎などは一度も女性管理職と出会わずに卒業する可能性が高い状況。

管理職を巡る性別のイメージは育った都道府県によってかなり異なるようです。

 

 

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この点、貴校園をはじめ私学ではどうでしょうか。

私自身の経験で言えば、女性の管理職とお会いする機会は、

幼稚園を除けば実に少ないです。

なぜこれほどまでに理事会が男性ばかりなのかと驚くほどで、

その理由も分かりかねているのが現状です。

ただ、記事にはこういった理由が書かれていました。

女性管理職が少ない背景として、現状の管理職育成制度は家事育児などの家庭責任を考慮していないことが指摘されている。18年に国立女性教育会館がまとめた報告書によると、女性教師が大半の家庭責任を担っている実態がある。

 

そして大学進学に関して、統計的な情報は割愛しますが、

以下の内容を引用させていただきます。

学校での言動に心当たりはございませんでしょうか。

 

私たちは「女子は文系、男子は理系」というジェンダーステレオタイプを意識的・無意識的に持っており、それが学校生活に影響を与えている。例えば、数学の試験で良い点をとった女子生徒に教師が「女の子なのにすごいね」と褒めると、「すごいね」だけの時よりも女子生徒の数学意欲が低くなる傾向にあり、一度だけの発言でも影響を及ぼすことが明らかにされている。

先の国立女性教育会館の報告では「理数系の教科は男子の方が能力が高い」と思っている小中学校教師は約23%に上る。教師の4人に1人が「女子なのに」と発言したり、そうした態度をとったりしても不思議ではないのだ。理数科目に対するジェンダーステレオタイプは、子どもたち自身が身につけていることも指摘されている。

 

明確な根拠がないけれど、何となくの印象で発言してしまうことがある、

そんな自分を思い起こし、今回の記事で反省した次第です。

事実と異なるイメージが形成されやすい場所のひとつが、

学校という場なのかもしれません。

この機会に、自分の中のステレオタイプと向き合っておきたいですね。

 

(文責:吉田)

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