このブログでも何度か採り上げている、定年延長の話題。
今回はそんな流れを先取りしている企業の実例について、
ご紹介することとします。
貴校園の人事労務の枠組を考える参考になれば幸いです。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
日本企業が「生涯現役時代」への備えを急いでいる。YKKグループは正社員の定年を廃止。ダイキン工業は希望者全員が70歳まで働き続けられる制度を始めた。企業は4月から、70歳までのシニア雇用の確保が求められるようになった。少子高齢化に歯止めがかからず人手不足が続く中、企業がシニアの意欲と生産性を高める人事制度の整備に本格的に乗り出した。
記事にはいくつかの企業の実例が挙がっていますが、
サマリーとしては下の表にまとめて下さっています。
記事で重点的に採り上げられているのがYKK。
この4月に従来の65歳定年制を廃止、
本人が希望すれば何歳までも正社員として働けるようにしたそうです。
ここには給与制度の工夫があり、職場での役割に応じて給与が決まる
「役割給」を採用しているとのこと。
同じ役割を果たせることを前提に、65歳以上でも
それ以前の給与水準が維持できるわけです。
同社幹部は
「従来も年齢だけを理由に処遇を変えたり、
退職させたりするのは公正でないという考えが強かった」
とコメントしておられます。この風土が肝になっている気がします。
ちなみに、現状の年齢別賃金推移はこんな感じになっています。
これも日経新聞掲載のものを活用しております。
50歳を超えても賃金が上がり続ける、ということは考えにくいにしても、
高齢層を引き続き雇用するという場合に、あまりに大きな減額となれば、
働く側のモチベーションに大きな影響がある、とも思います。
このあたりの折り合いをどうつけるか。
今後、私学でも課題になってくると考えられますので、
いろいろと検討しておくことが重要でしょう。
その際にはぜひこういったことに気をつけたいところです。
日本の賃金は年功色が強く解雇規制も厳格なため、単純に定年を延長・廃止すれば、人件費増加に歯止めがかからなくなる。みずほリサーチ&テクノロジーズが再雇用などで70歳まで働く人が増えた場合の影響額を20年に試算したところ、65~69歳の従業員にかかる企業の人件費は30年時点で19年比6%増の5.5兆円に、40年時点で同29%増の6.7兆円に増える。
定年を廃止する場合、高齢になり職務を十分に果たせなくなったシニアを解雇する仕組みも必要になる。話し合いを通じた双方の合意で契約を終える形を想定している企業が多いが、合意に至らないケースも考えられるからだ。金銭補償などを伴う解雇ルールの策定も求められる。
(文責:吉田)