この頃よく耳にするようになった気がする、
「子どもの貧困」という言葉。
忘れてはなりませんね。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
新型コロナウイルスの感染長期化で子どもの貧困が深刻になってきた。与野党からひとり親世帯への現金給付といった支援策を政府に要請する声がある。自民党内では省庁横断で取り組むための「子ども家庭庁」の創設案が浮かぶ。
「子どもの貧困率」という統計があります。
これは、「中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合」
を指すものですが、2018年の統計値は13.5%だったのですが、
ひとり親世帯では48.1%と跳ね上がり、
経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最も高いレベルにあるとされています。
そして、コロナ禍でその環境は一層厳しくなっているようです。
下のグラフは労働政策研究・研修機構の昨年11月末時点の調査結果。
ひとり親世帯は特に苦しい状況になっていることが分かります。
私学ではこのような状況に至っている家庭や子どもたちは
相対的に少ないのかもしれません。
しかしながら、私の知る限りにおいても、
家計の厳しさで学納金が未納となるケースが出てきているのも事実です。
少しは子どもの貧困について知っておかねば、と思われた方に、
この記事をご紹介させていただきます。
同じく日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事で紹介されている5冊は以下の通りです。
書評の一部も引用させていただきます。
山野則子編著『子どもの貧困調査』(明石書店・19年)
データ量・質ともにピカ一である。大阪府の10万人の子どもとその保護者のデータを用いて子どもの生活の各側面(住宅、健康、つながり等)の格差を示している。
可知悠子著『保育園に通えない子どもたち』(ちくま新書・20年)
「無園児」(幼稚園にも保育園にも通っていない子ども)の状況を大規模データとインタビュー調査から描き出している貴重な一冊である。
松岡亮二著『教育格差』(ちくま新書・19年)
幼児教育から高校教育の間に蓄積される様々な格差がいかに子どもを差異化し、学歴格差を再生産しているのかを示し、日本の教育政策の改善を「建設的に議論するための4カ条」を提案する。
入江優子・加瀬進編著『子どもの貧困とチームアプローチ』(朱鷺書房・20年)
→教育現場で学力格差に対処するためにお勧めの1冊。
現在、教鞭(きょうべん)をとっている方、これから先生になる方、すべてに読んでいただきたい。
橋本健二・浅川達人著『格差社会と都市空間』(鹿島出版会・20年)
1キロメートル四方のメッシュデータを用いて、東京圏における「地域格差がどのように変容してきたのか、そして、作られてきたのか」を示す。(中略)同じ経済状況にあっても、貧困が子どもに及ぼす影響は、その子がどこに住んでいるのかによって異なる。(中略)地域格差の縮小は子どもの貧困対策としても必要なのである。本書はその改革のための基礎知識を得る一冊だ。
年度末のこの時期、慌ただしい毎日が続いておられると思いますが、
時にはこのような読書はいかがでしょうか。
(文責:吉田)