寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

コロナ下の子どもの心 ストレス表出手助けを

コロナ禍による心への影響も看過することはできません。

学校現場でもいろいろな状況が出てきているのではないでしょうか。

専門家による記事が出ていましたのでご紹介します。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

コロナ禍で児童生徒が心に受けた影響の一端が国立成育医療研究センターの調査で明らかになった。担当した半谷まゆみ研究員は大人が子どものストレスの表出を助け、受け止めることが重要だと指摘する。

 

まずは上記調査結果を見ておきましょう。

 

国立成育医療研究センターのコロナ×こども本部が、今年6~7月、

全国の0~17歳の子どもを持つ保護者と7~17歳の子どもを対象に

インターネット調査を実施したところ、

保護者5791人と子ども981人から回答が得られたそうです。

この記事の筆者自身、この調査の回答者の属性に偏りがある可能性があること、

またこの調査は2回目だったのですが、1回目の調査と回答者集団が同一ではなく、

単純な比較ができないとのことわりをまず入れておられます。

 

さて下のグラフは、子どもに「あなたにあてはまり、今も困っていること」を

複数回答で選んでもらった結果の一部なのですが、

何らかのストレス反応・症状が全体の72%にみられた、とのことです。

ちなみに第1回調査は緊急事態宣言とほぼ重なる時期に実施され、

その時の割合が75%。

つまり、学校再開後もほとんど改善されていません。

筆者はこうおっしゃっています。

「遅れた学習を取り戻すべく授業時間数や宿題が増えた一方、

 感染対策として部活や行事は中止・縮小となり、

 大切な学びの機会や楽しみが失われたことが影響しているように思われる」

 

f:id:ysconsult:20200904084656p:plain

 

学校側としては、何とか授業の実施を、学習環境の整備を…

というところに意識が向くのは当然で、だからこそ

心のケアまでなかなか手が回らなかったケースも少なくないと思います。

少し状況が落ち着いた今だからこそ、

このようなことにもしっかりと留意していきたいところですね。

 

ちなみに、ストレス反応は学年によって様相が異なっているようで、

「コロナのことを思い出させるような人や場所、物には近づかない」は

小学1~3年生では31%だが、同4~6年生は18%と減少します。

逆に、「最近、集中できない」に該当した高校生は58%と過半数に達し、

30%前後だった小中学生を大きく上回っています。

しかもこの割合は1回目調査の42%からも大きく上昇しており、

大学受験や就職活動が本格化する高3生は特に丁寧な対応が必要、

と筆者はおっしゃっています。

 

 

心のケアという観点からは、偏見への配慮も必要です。

調査では偏見・スティグマ(らく印)の防止が必要であることも分かった。子どもの32%が「自分や家族がコロナになったら、秘密にしたい」、22%が「コロナになった人とは、コロナが治っても付き合うのをためらう(あまり一緒には遊びたくない)」と考えていた。保護者もそれぞれ29%、7%が該当した。

 

さらに、学校経営という観点からは、教職員側のメンタルにも留意が必要です。

現在、現場の教員には体力的にも精神的にも多大な負荷がかかっていると聞く。また、保護者の精神的負担が少なくないことも調査結果から分かっている。子どもと関わる大人のストレスケアも重要な課題である。

 

今後に向け、こういった事柄にどう向き合っていくのがいいのでしょうか。

記事にはこんなアドバイスが書かれていました。

まずは感染者に対する偏見について。

このような意識は不安などから生じたと考えられるが、いじめや差別の温床になりかねない。なぜこれが問題なのかを大人と一緒に考える機会を持つことが大切だ。正しい知識を身につけ、自分も仲間も大事にできるよう、子どもにも分かる言葉で導いてほしい。

そしてもうひとつ、興味深い事柄について。

コロナ禍を受けた様々なルールの変更や決めごとについて子どもの意見が反映されているかどうかを尋ねたところ、小学校高学年の25%、中高生の42%が「そう思わない」と答えた。もちろん、子どもの意見を全て取り入れることは難しいかもしれない。それでも子どもが自由に意見や気持ちを表せる場があること、それを否定することなく受け止めてくれる大人がいることは、子どもたちの大事な権利である。

 

 

コロナ禍は学校現場を大きな混乱に陥れたかもしれません。

しかし、これもまた現実であり、学びの材料でもあるように思います。

これまで希薄だった教育分野がこれにあたるのであれば、

これを機会に、豊かな学びが教育現場に広がることを願ってやみません。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp