日経新聞の連載、「やさしい経済学」。
都度テーマを変えながら、10回の連載記事が掲載されます。
7月上旬は「ポスト・コロナ時代の大学経営」。
大学、と銘打ってはいますが、
大学以外の学校法人でも参考になるように思いましたので、
ご紹介させていただきます。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
「良い大学」「良い学校」とは何か。
その定義は簡単ではありません。
筆者は、最初にこんなふうに述べておられます。
良い企業、良い大学とは何かを考えましょう。企業の目的は利益の追求で、どんな活動をするかは手段です。その評価は財務的な成果(利益)で判断されます。反対に大学の目的は教育研究の充実・発展で、財務的な業績や状況は手段です。良い大学は教育研究の内容や成果で判断され、財務的な利益の大きさと一致するわけではありません。
なるほど、確かにその通りです。
そうであればなおさらのこと、「良い」という定義が難しくなりそうです。
筆者はこう続けます。
日本では大学マネジメントというと、資源管理の「経営」に焦点をあて、「教学」と区分する傾向があります。しかし、大学の目指す方向や取り組む教育研究分野を的確に設定し、必要な資源を調達・管理しなければ、良い教育研究活動はできません。自主性・自律性を尊重した「教学」と「経営」を行うことが大学マネジメントの本質です。
「教学」と「経営」を区分する考え方は、私も日常的に見聞きします。
しかし筆者の言う通り、学校経営は両者を両輪としながら、
一体的に進める必要があります。
そのうえで、学校の経営資源、特に財源をどのように考えるかは
一般企業以上に重要かつ難解なテーマです。
これに対し、筆者はこう整理しています。
・教育活動の一部は、学生に対し有償で提供される教育サービスであるが、
教育による便益が個人を超えて社会的な便益に及ぶ医学や理学などでは、
政府補助で供給コストを抑えるとともに、教育機会の公平を図る必要がある。
・研究活動は、企業との受託研究等を除けば、政府の補助や贈与・寄付金を
財源としてスタッフにより自律的に実施される。
ついては、大学活動の資源調達は、交換的な対価収入以外にも、
政府からの補助及び民間・非営利部門からの寄付等による非交換取引でなされ、
つまりは市場・政府・非営利の3部門にまたがる、と。
私学は税金を納める側でなく税金を投入される側になるわけですが、
それは何より、社会的な存在意義が大きいからこそです。
(筆者は医学と理学を列挙していますがそれらに限られないでしょう)
ここから導かれる「良い学校」の定義とはすなわち、
それらの財源、経営資源を活用しながら、
社会的存在意義を果たしていく学校、ということになるのではないでしょうか。
この記事では答えが明かされていないこの問いに、
皆さんはどうお答えになりますか?
(文責:吉田)