学ぶ側からの提言にハッとさせられることがしばしば。
今回もなるほどと唸りました。
日経新聞より。
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某大学通信課程に在籍する大学生さんからの投稿です。
9月入学や義務教育の5歳開始をめぐる議論がこの数カ月、盛んに交わされてきた。発端は休校措置が生み出す教育格差の是正だったはずが、いつしか「教育を国際標準に」という論点が目立つようになった。9月入学にすれば留学生が増え、義務教育を5歳から始めれば学力向上につながるという主張は本当だろうか。教育学を学ぶ立場からいくつかのデータを挙げ、公正な議論を促したい。
投稿者が掲載するひとつめのデータは「留学生の増加」について。
日本は2017年の送り出し数が約11万人だったのに対し、
韓国は約24万人だったとのこと。
韓国の学年の開始時期は3月。日本に近いですね。
9月入学になれば留学生数が増えるというのは疑問、と筆者はいいます。
さらに文部科学省や関西大学による「留学の阻害要因」について。
回答は経済面や就職の困難が多くを占め、
学事暦の違いはほぼ挙がらなかったそうです。
さらに「教育の開始時期を早めれば学力が上がる」との主張について。
2018年のPISAで、日本が3つの調査項目で順位が最低だった読解力に焦点を当て、
日本より上位の国・地域について義務教育の開始時期を調べたところ、
5歳以下の義務教育の開始時期を設けているのは英国、マカオ、米国の一部の州のみ。
その他は6歳、あるいは7歳からとなっており、
読解力と入学開始時期の関係を見るかぎり、
開始を早めても学力の国際比較で優位に立てるとは言いがたい、
と筆者は言い切っておられます。
EBPMという言葉が政府で使われ始めたのは2、3年前だったでしょうか。
エビデンスに基づく政策決定を目指すのであれば、
このあたりの情報整理はしっかりと実施していただきたいところですね。
そして、国策のみならず、各校園での施策についても、
肌感覚も大切にしつつ、事実ベースの根拠を押さえておきたいものです。
(文責:吉田)