以前もご紹介した日経新聞の連載記事、「正社員って何だろう」。
先日はりそな銀行の事例をご紹介したのですが、
本日は労働力の柔軟活用について見てみることにします。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
終身雇用、年功序列、企業内労働組合――。高度経済成長を支えた日本型経営の「三種の神器」はグローバル化とデジタル化の波にさらされ、変化を余儀なくされてきた。負の影響ばかりではない。新型コロナウイルスの感染拡大への対応は労組に新たな役割を与え、向き合う社員のありようも変えつつある。
記事に紹介されているのはとあるスーパー、そして居酒屋。
スーパーと居酒屋は同系列でも同一企業でもありません。
が、そこで働く奥山さんは、居酒屋の店員の身分を維持したまま、
スーパーで商品陳列をしている、というのです。
コロナ禍で、働いている居酒屋の休業が続く中で、
別企業ながら労働力が不足しているスーパーへと、
労働力が「橋渡し」されたのです。
そしてこの橋渡しをしたのが労働組合だというから驚きです。
流通や外食などの労組からなる連合傘下の産別労組「UAゼンセン」が窓口となった。休業や営業時間の短縮を迫られる飲食店などが相次ぎ、傘下の企業別労組に人材需要の情報を橋渡しする支援を始めた。
今回の記事には2つ、考えさせられたことがあります。
1つは労働組合という存在について。
世間でもそうであるように、私学においても労働組合の存在感は
低下してきているように感じます。
とともに、労働組合がともすると権利主張のみのための機関に
なってしまっているケースも少なくないように感じます。
労働組合は労働者である教職員の待遇改善、労働環境改善が
存在意義であるところ、その活動が存在意義から離れていないか、
もう一度確認することが必要かもしれません。
今回の記事は労働者が解雇されることを回避するための動きとして
有意義だと感じます。
各校園においても、経営者と労働組合が、ともに成長を図るために
学校経営をしっかり学んでいくことが重要なのではないでしょうか。
もう1つは、労働力の横展開について。
私学は、地域ごとにある程度の横のネットワークをお持ちであると
感じているのですが、それが活かされているかというと、
十分ではないような気もします。
私学における業務内容はどの学校でもそれほど違いはありませんから、
例えば同種の業務を行う際に、他校のノウハウを活かしたり、
場合によっては他校の労働力を活かしたり…といったことも
十分考えられるような気がするのです。
守秘義務等、実現は簡単ではないと思いますが、
それでも他校との情報交換を上手にしておられる事務長さんなども
いらっしゃいます。
そのうち、労働力が共有されて融通が利くようになれば、
学校の働き方改革は一気に進むような気もするのですがいかがでしょうか。
(文責:吉田)