正社員、という概念が変わってきているのかもしれません。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
正社員には支給されるのに非正規の従業員はもらえない。正社員の恵まれた立場を象徴していた様々な手当が「同一労働同一賃金」の名の下に見直されている。それでも正社員と非正規を隔てる溝は容易には埋まらない。りそなグループは過去の危機を契機に、社員の区分を越えて人材を活用する制度を模索してきた。
というわけで、りそな銀行がこの記事の主役です。
銀行という業界も厳しい経営環境にさらされていますが、
だからこそ人材の確保と活用は大きな課題。
その意味では学校も同じ、かもしれませんね。
記事に登場するのは、東京本社で
「パートナー社員(パートタイマー)」として働くある女性。
この女性の給与に4月分から5千円が上乗せされることになったそうです。
りそなグループの社員は、業務範囲や勤務時間の条件によって▽限定なしの正社員▽どちらかを限定した「スマート社員(限定正社員)」▽どちらも限定したパートナー社員――の3つに分かれる。この春、正社員だけを対象としていた子育て支援手当が他の区分にも拡大され、大学生の息子がいる飯島さんも恩恵を受けることになった。
りそなグループが実施した人事制度の見直しについては、
下の図が分かりやすいと思います。まとめると、
・働き方によって社員を区分(これは以前から実施)
・手当の支給基準を全区分に共通化
・有休の積立も全区分に共通化
ということになります。
さてこの話を私学にあてはめてみましょう。
私学の場合、教職員の契約形態は大きく分けると
「専任」と言われる無期雇用のフルタイム、
「常勤」と言われる有期雇用のフルタイム、
「非常勤」と言われる有期雇用のパートタイム、
の3種類になりますね。
こうやって見てみると、「無期雇用のパートタイム」というカテゴリがない、
ということに気づきます。
そして、りそなグループでは業務範囲による分類もありますが、
私学には「○○だけを担当する教員」というのは一般的ではなく、
あくまでも「授業もするし、分掌も担当するし、クラブ顧問も」という
マルチ型が圧倒的に多いような気がします。
働き方改革の実現のためには、
このような雇用形態を多様化させることもまた、
必要な着眼点なのではないでしょうか。
ここ最近、弊社にも給与制度を変えたいというご相談が相次ぐようになっています。
各校園で人事制度を変える必要性を感じられたら、
ぜひとも給与体系のみならず、働き方に応じた契約形態にも
メスを入れていただければと思います。
そしてその際には、給与制度が複雑になりすぎないようにも留意すべきです。
今回の記事にも、りそなホールディングス人材サービス部の担当者が
「うちはもともと手当を極力なくしていた。
給与明細の項目の多い会社は一つ一つ検討が必要で大変だと思う」
とコメントしていらっしゃいました。
私学の給与制度を拝見するに、手当はかなり複雑なケースが多いので
特に注意が必要でしょう。
(文責:吉田)