私学の場合、家計の状況が悪くなると学費の心配が出てきます。
実際のところ、新型コロナウィルス感染拡大によって
私学を退学せねばならないかもしれない、との危機感を持つ
学生が2割程度いる、との報道もありました。
高知新聞より。
新型コロナウイルスの感染拡大が大学生らの生活に大きな影響を及ぼし始めている。
学生団体がインターネットで学生アンケートを実施したところ、回答者の7割近くがアルバイト先の休業などによって収入が減ったり、ゼロになったりしていた。親の収入が減ったり、なくなったりした学生も半数を超えた。
このままでは学生は生活費や学費が工面できなくなる。実際、アンケートでは2割が退学を検討していることも判明した。
このような事態を何とかせねばと、まずは各私学が対応を始めました。
奨学金制度は平時でも存在していたのが、
一律の給付を実施する大学が現れたのです。
おそらく国内最速は就実大学。以下の発表は4月16日です。
その後、特に大手の大学は次々に給付を発表しています。
学校経営に一定の財政余力が必要であることを思い知らされます。
そして、国もそのような状況を踏まえて、
助成金の前倒し交付の検討を始めました。
日経新聞より。
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萩生田光一文部科学相は12日の閣議後の記者会見で、新型コロナウイルス感染の拡大によりアルバイト収入が減った学生に対する各大学の支援策を後押しをするため、大学向けの助成金などを前倒しして交付する考えを示した。
さらには、学生に対する直接給付も急浮上してきました。
毎日新聞より。
政府・与党は12日、新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入が激減し困窮している大学生らを対象に、1人当たり10万~20万円の現金給付を行う調整に入った。対象人数を40万人規模と想定し、更なる対象増も模索する。今年度補正予算(1次補正)の予備費1兆5000億円の一部を活用し、週内にも閣議決定した上で速やかな給付を目指す。
このニュースは続報が見つけづらいのですが、日経新聞によりますと、
15日夜のインターネット番組で首相が「最大20万円を給付する」と表明、
「来週中に予備費で対処していくことを決定し、なるべく早く届けたい」
と話したと報じています。
一方で、私学における教育環境はどうなっているのでしょうか。
昨日のブログでも触れましたが、遠隔授業がかなり増えてきているようです。
再び日経新聞より。
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文部科学省が4月下旬に国公立、私立大学に調査したところ「多様なメディアの高度な利用などを通じて、教室外の学生に対して行う授業(遠隔授業)の活用」を実施すると答えたのは59.8%だった。検討中と回答した38.8%を含めると、ほぼすべての大学が何らかの形でオンライン授業導入を視野に入れている計算になる。
グラフは急上昇ですね。
私学の場合、オンラインでの学習環境の確保はここ数年、
テーマとして上がっていたとは思います。
ただ、「学内の全ての授業を遠隔で」というふうには
どの私学も考えていなかったでしょう。
オンライン授業の定着には課題も多い。全学生にパソコンを配布できない大学の場合、機器の購入費用やWi-Fiの環境整備にかかる負担が学生にのしかかる。
4~5月にオンライン授業を始めた大学ではアクセスが一時的に集中し、授業が受けられなくなるトラブルも相次ぐ。サイバー攻撃を受けるリスクも高まる。駆け込み導入が一服した後、オンライン授業の課題と可能性について冷静に検証する必要がありそうだ。
関連して、以下の記事もご紹介しておきましょう。
同じく日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
こちらの記事ではいくつかの私学での実践例が書かれています。
オンライン授業やウェブ上のグループ討議などが挙がっていますが、
学生は「自分の発言時に他の人の反応を見られるので緊張感がありつつ、
自宅という環境でリラックスできる」と話し、
教授は「回線状況で画面や音声が乱れることもあるが、想定の範囲内。
『デジタル世代』の学生の方が抵抗がないようだ」と指摘。
法人理事長も「収束すれば通常授業に戻すが、多くのノウハウが得られるはず。
災害時も緊急的に実施でき、社会人の学び直しにも生かせる」と話しています。
オンラインの環境を整えるには、インフラ整備のコストを捻出せねばなりません。
加えて、オンラインの特性を踏まえたしくみの整備も必要でしょう。
デメリットが目につきやすいのは導入期であれば何事も同じ。
むしろメリットに着眼し、新たな学びの手法として
うまく活用する方法を見つけていきたいですね。
(文責:吉田)