自らの価値観でタブーを乗り越え、
次々と目標達成していく永守さんは2年前から、
大学法人の経営も始められました。
なかなか興味深いインタビューが掲載されていましたので、
ご紹介します。日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事はまず、永守氏が大学経営に乗り出した背景について問われ、
自ら経営する企業に高学歴の学生が入社してきて気付いた点について
述べておられます。
多数の大学から採用して分かったのは、大学の偏差値と入社後の仕事ぶりには何の関係もないことだ。一流大卒を採用しようと頑張ったのは無駄だった。"三流大学卒"は妙なプライドがない。世界的新製品を開発し会社を大きくしたのは、創業時の採用組だ。たまたまどこかの試験を落ちただけで潜在能力は高い。東大卒や京大卒が優秀だったら、大学経営に手は出さなかっただろう。
私がいまだに不思議に感じるのは、
「高学歴だからと言って必ずしも仕事ができるわけではない」
と多くの方がおっしゃるにもかかわらず、
高学歴志向の状況にあまり変化がない、ということです。
人にはいろんな強みがあり、いわゆる学業はその一つの要素でしかないはず。
それぞれの強みが活きる学歴であってこそ、
多様性が大切にされる社会なのではないか、と思うのです。
永守氏もこんなふうにおっしゃっています。
一芸に秀でた人材、とがった人材が必要なのに、センター試験のような愚かな制度で若者を振り分ける。人生百年の時代に18歳か19歳で新幹線組とローカル線組に分け、一度ローカル線に乗ったら残りの80年ずっとローカル線。こんな教育は間違っている。
このような現状を打破するために、永守氏は実際に大学経営に乗り出します。
では、現実の大学の授業はどうなっているのか。
それを知った永守氏の、手厳しい感想が掲載されていました。
批判だけでなく、自分で大学を経営してみよう。そう思って2年前、京都学園大学の理事長に就任した。授業を見て驚いた。学生の半分は寝ていて、残りはスマホで遊ぶか私語。私も授業を聞いたら、ものの10分で寝た。教員は「学生のレベルが低いから」と言うので、「私も寝た。私もレベルが低いのか。内容がつまらないから学生が寝るのだ」と叱責した。
記事は大学の話ではありますが、
高校、中学等でも同じことが言えるかもしれません。
なぜ寝てしまうのか、それは生徒のせいだ、と思った瞬間に、
授業の改善のきっかけは閉ざされてしまうように思います。
最初は「寝ないようにするためにはどうしたらいいか」という、
あまり前向きではないテーマに取り組むことになるかもしれません。
が、その後には「どうすればこのテーマに興味を持ってもらえるのか」、
そして「どうやって知識を定着させることができるのか」、
さらには「将来活かせる学びを実現するにはどうしたらいいか」と、
学校がなすべき教育の目標はより深いところへと向かっていくでしょう。
そのための方法を考えることはむしろ学校の本分、と言えるのではないでしょうか。
永守氏はこうもおっしゃっています。
今の学生に90分の座学は厳しい。それなら45分は座学で残りは動画にするなどやり方はいろいろある。なんら工夫もせずに、ご飯を食べている教員が日本中の大学にごろごろいる。
教育改革は大学だけではだめだ。付属中学・高校、次に小学校、幼稚園と、大学までの一貫教育を作りたい。京都駅前に夜間のビジネススクールを開き、経営者を目指す技術者も育てたい。
今の学校教育は教えるだけで、人を育てていない。家庭の最大の関心事は子どもの教育と家族の健康だ。最後の天職だと思い、全財産を教育と医療に使いたい。
今後の同大、そして幼小中高にも注目ですね。
そして、貴校園でも「常識」から自由になる発想を持ちながら、
将来を見据えた経営を進めていただければと思います。
(文責:吉田)