非常に興味深い記事です。
学歴以外の物差しが増えることを願いつつご紹介します。
日経新聞より。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
この記事は連載もののひとつで、
「教育をデータで斬る」というテーマのもと、
全10回にわたって記事が掲載されました。
その第2回の記事がこれです。
「学歴に意味はない」
エール大学助教授・成田悠輔氏はそう言い切っています。
そのエビデンスをご紹介しましょう。
舞台はシカゴです。この街には入学が難しい有名公立高校が10校ほどあります。これらの学校にギリギリで合格した生徒と、ほんのわずかに点が足りず不合格となった生徒のその後を比べます。ギリギリで受かるか落ちるかは偶然に近いと考える自然実験です。
両者の米国版センター試験の成績を比べたところ、有名校に入っても普通の高校に入っても違いがないことがわかりました。有名校の生徒はその学校のおかげで成績優秀なのではなく、そもそも成績優秀な生徒が有名校に入っているだけ、という残念な結論です。
ちなみにこの記事には、ニューヨークやボストンの有名公立高、
ハーバード大やエール大のような有名私大であっても、
成績や収入を伸ばす効果は普通の高校・大学と大差ない、
という研究も紹介されています。
筆者は
「有名校に入っても学生の未来が明るくなるとは限らないのです」
とこれまた言い切っています。
私自身、比較的学歴に恵まれている方だと思いますが、
周囲からどう思われるか、ということを除けば、確かに、
この学校にいたからどうこう、というのはほとんど実感がありません。
好きな学校だったかどうか、ということのほうが
よほど自分の人生にいい影響を与えてくれるような気がしています。
そしてそれ以上に私が思うのは、これほどまでに学歴を重視するのを、
どこかでやめにしませんか?ということです。
学歴に意味がない、とまでは仮に言えなくても、
それは個性のごくごく一部、ひとつの要素なだけであって、
それが将来の自分や社会に与える影響はそれなりでしかない、
と思うからです。
私学の特色化が進むことを願う私の気持ちはそこにあります。
建学の精神を中心に据え、
その学校が本当に必要と考える教育を存分に実現することで、
子どもたちや各家庭がその学校に入りたいと思う、
そんな世の中になればいいなあ、と思うのです。
ちなみに、筆者はこの記事を挑発的に締めておられます。
日本にはこうした分析はありません。データがない、というのが理由(言い訳?)のようです。「わが校の教育には効果あり」と信じてやまない関係者の方はぜひご一報ください。
ご意見のある皆様方、ぜひご一報差し上げて下さい(笑)。
(文責:吉田)