寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

大学間の格差問題

私立と公立の格差問題。

これは学校種を問わず、時折俎上に上る議論です。

このたび、大学における公私間格差に関して、

国立大学協会長がインタビューに応じている記事を見つけましたので、

ご紹介させていただきます。日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

この記事、冒頭から興味深い質問と回答が展開されています。

 

――私立大学から、国私間の公財政支出格差是正を求める声が強まっています。

国公私立間の格差問題は経済的な視点と学問上の視点がある。

経済的格差では今回の高等教育無償化政策の効果に注目している。無償化で国公私立の入学者層に大きな変化が出たら、経済問題の深刻さが裏付けられる。一方、さほど変化が出なければ問題は別にあることになる。

学問的見地で言うと、私立の建学の理念は非常に重要だ。国立にもないわけではないが、私立の方が顕著だ。私立の独自性と、全ての国民への高等教育の機会提供という国立大学のミッションが、どうすみ分けられるかという問題だ。今後は学費を上げる国立も増えるだろうから、学費格差は徐々に縮小する。となると、問題は教育研究の目的・方向性になる。

 

なるほど、無償化政策は近い将来、その評価がなされるはずです。

そこで経済問題の重要性が計測できるはず、ということですが…

さてどんな評価が待っているのか、興味津々です。

 

そして学問上の視点については、やはり私学の建学の理念が支持されるかどうか、

という点が鍵になりそうです。

小中高の場合にはとかく大学進学実績が選択基準になりがちな昨今、

建学の理念にスポットを当てた学校選択がより進むことを願いたいです。 

 

さて、ここからがこの記事としては本題となる、

公私間の財政支出格差についての内容の記載があります。

財政支出にはこんなに差があるんですね。

 

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――それでも、国立大学の運営費交付金と私学助成では予算規模にかなりの差があります。

例えば、国立には設置基準として厳しい予算上の定員がある。一方、私立は条件を満たせば自分たちで定員枠を増やすことも減らすこともできる。そういう問題にまで波及する議論だ。

極論だが、もし運営交付金がどんどん削減されていけば、私立との格差も縮小する。それなら、今度は国立が定員を増やしていいのかという声も出る。私立側は、そうした問題を一切伏せて話をしている。国の補助金が増えれば、私立は国立と同じ枷(かせ)をはめられ、最大の価値である建学の精神に基づく独自の大学運営ができなくなる懸念もある。

高等教育全体の問題として、どこかで一度、国公私が腹を割って話すべきだとも思っている。

 

ここで指摘のある通り、定員の増減をはじめ、

経営の自由度は確かに公立よりも私立の方が高いかもしれません。 

しかし、それでも単価設定には一定の枠があったり、

定員の増減にしても全く持って自由、というわけではなかったり、

あるいは昨今、公立でも不均一なカリキュラム提供ができるようになったり…

と、上記のご意見をすんなりとは受け入れがたい状況があるのも事実でしょう。

 

とはいえ、私学としては、公立よりも大きな経営の自由度を活かして、

学校経営の安定と発展を図る必要があります。

公立校や他校との比較も時には有用な考察材料となりますが、

まずは自らの方向性とそれを実現するための方策を、

自分達らしく考えることこそが私学の進取の精神ではないでしょうか。

 

厳しい経営環境ではありますが、だからこそ工夫も生まれるものです。

貴校園の経営改善が進むことを心から願っております。

 

(文責:吉田)

 

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