寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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財政厳しい大学 新手の資金獲得

財政が厳しい、というお悩みはどの学校法人さんもお持ちなのではないでしょうか。

そこで、と興味深い資金獲得手法を実践されたケースをご紹介します。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

この記事は東京学芸大学長の寄稿です。

教師の志願者減少への対策が必要、との認識の下、開始した活動のようです。

 

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上のグラフは1998~2018年度までの公立小学校教員採用試験における

受験者数、採用者数、受験倍率の推移です。

こちらから分かるのは受験倍率の低下。

ピーク時には12.5倍だったものが、2018年度には3.2倍まで低下しています。

受験者数は若干増加しているものの、団塊の世代の退職をはじめ、

ここ最近は教員の採用必要数が大幅に増えていますから、

受験者数をもっと増やさなくてはならないのに、なかなかそうならない、

というのが現実です。

教員のなり手不足は、公立のみならず、各私学でも実感されていることでしょう。

 

一般に教員採用試験の受験倍率が3倍を切ると、教育・教員の資質が問題になるといわれる。19年度の公立小学校教員採用者の倍率をみると、3倍を切った自治体は19自治体あり、1倍台(1.2~1.9倍)が6自治体、2倍台(2.1~2.5倍)が13自治体に上る。本学卒業生が最も多く受験する東京都の倍率は1.8倍だった。

受験倍率低下の背景は様々な角度から分析されているが、共通するのは(1)企業の新卒者採用が好調で売り手市場にある(2)近年、「教職はブラック」という意識が広がり、教員という職業が敬遠されている――である。

 

確かに教員は多忙である、と筆者も指摘しています。

ただ、その一方で対策も進められており、学校での働き方改革

そして早期からの教職人材育成なども拡大傾向です。

あとはこの職業の魅力を知ってもらうことこそ、

志願者増のために必須、というふうに考えて実践されたのが

「『教師』の魅力発信プロジェクト」です。

 

「教師の魅力」を発信し、多くの人々に共感してもらうことは、現場教師への応援と志ある優れた人材が教育現場に立つことへの後押しになる。それは、教員養成に特化した国立大学として、私たちが果たすべき使命でもある。

プロジェクト第1弾として、「教師の魅力」を共感してもらう映像コンテンツの制作と配信を専門家に委託した。テーマは「先生のおわりとはじまりの授業」で、定年退職を迎えた本学付属高校教師の最後の授業と、付属中学校教師として教壇に立った若手教師の最初の授業を撮影し、教師という職業の一端や、彼らの思いを多くの人々と共有したいという意図である。完成した映像は、東京学芸大学ホームページやユーチューブなどで広く公開していく。

 

このプロジェクト実現のための資金をクラウドファンディングで集める、

というのが今回の記事の主旨です。

5月15日に始めたクラウドファンディングは、

わずか2週間で当初の目標金額100万円を達成したそうで、

最終寄付総額は196万円(124人)に上ったとのこと。

 

支援者の中には本学の卒業生や教職員も多数いるが、一般の人々からも多数の支援をいただいた。それだけ、教師という職業に対する期待と関心が強く、教育の現状に危機感や問題意識を持っている人が多いことの表れだと考える。

 

学校は社会的な課題解決を担う場でもあります。

だとすれば、社会から支援を受けて活動する、

ということが資金面でも実現できる可能性は十分ありそうです。

 

お金も人手も、その原点は「何をやりたいのか」にあります。

やりたいこと、その目的を明確化すれば、

ひょっとすると人もお金も付いてくる…のかもしれませんね。

 

(文責:吉田) 

 

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