久しぶりに労務関連の情報提供をさせていただきます。
厚生労働省からの発信です。
短時間・有期雇用労働者及び派遣に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 (案)の概要
先日パブリックコメントの期限が到来したところで、
現段階ではまだ「案」となっています。
図表等がなく、少々読みにくい資料ですので、
重要箇所のみ以下ご紹介いたします。
まずは「基本的な考え方」について。
この指針は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間に待遇の相違が存在する場合に、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものであり、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものでないのか等の原則となる考え方及び具体例を示すものである。
(中略)
事業主が新たに雇用管理区分を設け、当該区分に属する通常の労働者の待遇の水準を低く設定したり、職務分離等を行ったりした場合でも、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間で不合理な待遇の相違の解消等を行う必要があることや、事業主が通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間で不合理な待遇の相違の解消等を行うに当たっては、基本的に、労使で合意することなく通常の労働者の待遇を引き下げることは、望ましい対応とはいえないことに留意すべきである。
いわゆる同一労働同一賃金の原則について触れていると思われますが、
赤文字で示している箇所は先日来話題になったところです。
すなわち、同一労働同一賃金を実現する際、
パートの待遇を引き上げて両者の水準を合わせるのではなく、
正職員の待遇を引き下げて両者の水準を合わせようとする際には
注意してくださいね、と書かれています。
ただ、これを読む限りは「労使の合意」があればいいですよ、
とも読めますね。慎重に行うべきことではあるでしょうが、
禁止されるわけではないところに留意が必要です。
本資料はこの先、
・第3 短時間・有期雇用労働者
・第4 派遣労働者
・第5 協定対象派遣労働者
と、契約形態ごとの記述が続きます。
それぞれにおいて「基本給」「賞与」「手当」「福利厚生」を
このように扱ってください、という内容が書かれていますが、
大雑把にまとめますとこんなふうになります。
1 基本給
→支給基準に応じて等しい扱いをする必要があります。
よって、勤続年数に応じて支給する給与体系であれば、
勤続年数が同じなら同一の支給をすることが求められます。
同様に、能力や業績等で支給する給与体系であれば、
能力や業績が同じ場合に同一の支給が求められます。
前者は「同一」があり得ますが、
後者は果たして同一ということがありうるでしょうか。
この点、今後の給与制度を考える際のポイントになりそうですね。
2 賞与
→労働者の貢献に応じて支給する場合には、
貢献が同一なら同一の支給が求められます。
これも基本給同様、貢献が同一ということはなかなか考えにくいですよね。
3 手当
→各種手当の支給根拠となっている事項に応じて
等しい取り扱いをする必要があります。
これも結局、基本給と同じです。
列挙されているものの中には役職手当や精皆勤手当、
時間外手当、通勤手当、出張旅費、食事手当などがありますが、
すべてその基準を同じくすることが求められています。
契約形態による差を設けることが難しい、というわけですね。
4 福利厚生
→考え方は上記同様。
福利厚生施設や社宅の利用、慶弔休暇や健康診断の取扱い等について、
差をつけてはいけませんよ、という内容になっています。
さて、貴校園ではどのようなご対応をされているでしょうか。
現時点では素案段階の本資料ですが、概ねこの内容で確定するでしょう。
すでにしくみを整えられているかとは思いますが、
今一度ご確認をお願いいたします。
(文責:吉田)