ベネッセ教育総合研究所は、3歳から18歳までの子どもを持つ母親16,170名を対象に習い事や部活動などの学校外教育活動の実態や費用について調査した「学校外教育活動に関する調査2017」の結果を公表しました。
この調査は2009年、2013年にも行われており、8年間の変化を見ることが出来ます。
本日は、調査結果の中から特に気になった点をご紹介いたします。
まず、保護者はスポーツや芸術よりも勉強を重視する意識を強めている傾向にあることが次の設問から読み取れます。
①運動やスポーツよりももっと勉強をしてほしい
2009年:26.8% ⇒ 2013年:34.8% ⇒ 2017年:39.4%
②音楽や芸術の活動をするよりももっと勉強をしてほしい
2009年:31.7% ⇒ 2013年:39.5% ⇒ 2017年:44.4%
③子どもの将来を考えると、習い事や塾に通わせないと不安である
2009年:51.7% ⇒ 2013年:55.5% ⇒ 2017年:60.8%
④子どもにはできるだけ高い学歴を身につけさせたい
2009年:59.5% ⇒ 2013年:62.8% ⇒ 2017年:64.4%
どれも上昇傾向にあることがわかります。
特に、③の「習い事や塾に通わせないと不安である」については、60%以上の母親がそのように思っているという結果になっています。
実際に、小学生や中学生が塾に通うことはもはや当たり前の時代になっているような感じもします。
そして、それを裏付けるような結果として、67.2%の母親が「教育にお金がかかり過ぎると思う」と回答しています。
世帯収入が伸び悩む中、子どもの将来のことを考えて塾に通わせ、その結果として家計を大きく圧迫しているというのが実情ではないでしょうか。
学校の勉強だけでは不十分だと認識しているから塾に通わせるのか、多くの子どもが塾に通っているから何となく塾に通わせなければいけないという強迫観念にとらわれているのか・・・
いずれにせよ、学校では毎日何時間も勉強しているにも関わらず、さらに塾にも通わせなければいけないという風潮になっているのは何とも皮肉な感じがします。
子どもが勉強することはもちろん大切ですが、それだけに偏重してしまってはいけません。また、保護者の思考がそちらにシフトしていることも問題です。
多感な時期だからこそ、勉強だけではなくスポーツや芸術など様々な体験をし、様々なことを感じ取って大きく育ってほしいと思います。
それが可能な場所こそ「学校」だと思います。
学校が保護者や児童生徒のニーズを満たせていない、または学校側の意図を伝えきれていないのであれば、学校は児童生徒に対してだけではなく、保護者や地域に対しても様々なことを発信し続ける必要があるのかもしれませんね。
(文責:木村)