寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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寝る子は育つ!

夜の9時前後、大手の有名進学塾が集まる駅周辺で、塾帰りと思われる小学生達を見かけることがよくあります。朝から学校に行った後にも関わらずこんな遅い時間まで塾で勉強するなんて凄いなあと思いつつ、この小学生達は毎晩何時に寝ているのだろうと疑問に思います。

難関校に狭き門を突破するためにはそれくらいの努力は当たり前なのかも知れませんが、子どもの体を考えると望ましいことではないと感じてしまいます。

 

そこで、本日は子どもの睡眠時間に関する記事のご紹介です。

 

toyokeizai.net

 

『基礎講座 睡眠改善学』によると、小学生の睡眠と学力の関係を調べると、成績が上位の子ほど早い時刻に寝ていることがわかります。主要4科目(国語、算数、理科、社会)で平均95点以上を取った子が寝る時間は9時前が41%、9時台が28%、10時台が22%、11時台が14%、12時台が0%でした。そして3年生と6年生では就寝時刻が遅くなればなるほど、テストの平均点が低くなることもわかりました。

また広島県教育委員会が2003年に行った「『基礎・基本』定着状況調査報告書」でも、似たような結果が出ています。小学5年生を対象に国語と算数の試験結果と睡眠時間について調査しました。その結果、睡眠時間が5時間以下だと国語が51.9点、算数が53.9点。5時間以上から6時間未満の場合、国語が61.8点、算数が65.8点。睡眠時間が9時間以上10時間未満だとそれぞれ70.3点、73.7点でした。

睡眠時間が5時間台から6時間台、6時間台から7時間台、7時間台から8時間台と長くなるにつれて、成績が上がることがわかりました。ただし10時間以上寝ると、成績が下がりました。この調査では、7時間以上10時間未満の睡眠時間が良い成績をとるためにはベストだったようです。

一方、2011年にバルセロナ自治大学が6~7歳の小学生142人を対象に行った調査では、平均睡眠時間が9~11時間の生徒の成績は、平均睡眠時間が9時間以下の生徒に比べて高いこともわかりました。同時に睡眠不足は、記憶力や認識力、モチベーションなどの低下にもつながることがわかったそうです。

こうした調査結果をまとめると、望ましい睡眠時間は8時間〜10時間未満、日本の小学生の平均起床時刻は6~7時なので、20時~21時の間に寝るのが学力を上げるには効果的と言えそうです。この時間に就寝すれば、9~11時間は眠れることになりますが、実際に小学生の平均就寝時間は22時台で、平均睡眠時間は8~9時間ほどです。

 

記事では小学生は20時~21時の間に寝るのが学力を上げるためには効果的と指摘していますが、大手進学塾に通い難関中学を目指す小学生達はまだ授業中か授業が終わる時間かと思われます。

そのような塾に通う小学生たちは、望ましい睡眠時間を下回るというハンデを背負いながらもおそらく優秀な成績をとっているであろうということを考えると、相当な勉強量であることは間違いなさそうです。(そこは私も見習いたいところです・・・)

 

そんなハードな毎日を過ごしている塾に通う小学生達だけでなく、テレビを見たりゲームをしたりで何となく夜更かしをして十分な睡眠時間を取ることができていない小学生も多いことだろうと思います。

 

私は毎晩23時までに就寝し翌朝6時には起床することを心がけていますが、夜に予定が入り就寝時間が少しでも遅くなってしまうと、翌日はなんだか体がだるく感じたり、眠気を感じたりします。

 

中年の私でさえそのように感じるのですから、小学生の場合には睡眠不足による疲労感はもっと大きいものでしょう。その実態がアンケートで浮き彫りになっています。

 

ここで興味深いアンケートがあります。前出の『基礎講座 睡眠改善学』で小学生の心身疲労状態を調査したアンケートによると、小学生が自覚している症状として1位「あくびが出る」20%強、2位「眠い」15%強、3位「横になりたい」15%、4位「目が疲れる」15%弱、5位「ちょっとしたことが思い出せない」15%弱、6位以下は「きちんとしていられない」「物事が気にかかる」「イライラする」など。まるで疲れたサラリーマンか、おじいちゃん、おばあちゃんからの訴えのようです。

では、これらの訴えの原因は何でしょうか? 1~4位の原因は主に眠気や睡眠不足からくるだるさです。日常の睡眠が不足していることを物語っています。5位以下は注意力、集中力のなさ、精神の不安定さが原因です。5位以下は、睡眠が足りないことにより、脳の前頭葉の働きが鈍ることにより起きる症状です。ということは実はすべては、十分な睡眠がとれれば、通常であればほとんどが解決しうる問題なのです。小学生がいかに睡眠不足なのかがわかりますね。

 

日常的に上記のような症状を自覚しているということですので、一定数の小学生が慢性的な睡眠不足に陥っているといえそうです。

 

最初の引用部分にもありましたが、睡眠不足は記憶力や認識力、モチベーションなどの低下にもつながることが指摘されています。

慢性的な睡眠不足の状態で勉強したとしても、モチベーション低下⇒集中力低下⇒ダラダラ⇒夜更かし⇒睡眠不足⇒モチベーション低下⇒・・・といった悪循環を招く結果になることが目に見えています。これは、大人が寝不足や疲労の蓄積した状態で仕事をするときにも同じことが当てはまるでしょう。

 

難関校へ合格するために貴重な睡眠時間を削って勉強することは、将来の夢をかなえるための重要なステップだと思います。

ただ、保護者だけでなく、大人は子ども達の心身の健全な発達のために睡眠の重要性を十分考慮した上でサポートすることが必要なのではないかと感じます。

 

 

(文責:木村)

 

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