寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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時間割の工夫

先日、新しい学習指導要領が発表されましたね。

新聞紙面でも大々的に採り上げられていて、少々面食らったところもあるのですが、学歴のみならず教育内容そのものへの関心というのはそれなりに高いということなのでしょうか。

 

さて本日は、教育内容を実現するための「時間割」についての話題です。

こんな資料が文科省HPにアップされています。

小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方に関する検討会議 報告書:文部科学省

 

「カリキュラム・マネジメント」という横文字を使っておられますが、読んでみると、要するに時間割のことだと分かります。

時間割のことがなぜ論点になっているか、という点については後にしまして(勘のいい方はすでにお分かりかもしれませんが)、ここでは「小学校での1コマ当たりの時間は何分がいいのでしょうか?」という問いを考えてみましょう。

 

レポートから抜粋してみます。

45分という時間は、児童の集中力や学習の持続、指導内容のまとまりという点からも実施しやすい時間として、児童の発達の段階や実態を踏まえた、教員の指導の工夫の結果を基に定められてきたものである。現行学習指導要領では、一単位時間は45分で換算することとしつつ、実際に一授業に充てる時間の設定は、各学校において適切に定めることができるものとされているものの、最新の調査によっても、ほとんどの小学校(99.72%)において、一授業の標準は45分に設定されているところである。

自分自身の経験をふりかえっても、またこれまでのいくつかの学校のお話を聞く中においても、小学校の授業時間は1コマ45分というのが「当たり前」に近い感覚です。

 

ところが、このレポートにはこんなことも書かれています。

特に小学校段階の学習においては、児童の学習規律の確立が学習の基盤となる。時間割は、学校における児童の生活時間を効果的に配分し、日々の生活や学習のリズムを作り上げていく効果も持つものである。日常的な生活や学習のリズムが身につくよう、なるべく恒常的な時間割であることが望まれる。
○ また、各教室には、発達障害も含めた多様な学習ニーズを抱えた児童が存在することを踏まえれば、時間的な見通しが立てやすい時間割が望ましい。
○ 一方で、児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けては、その時々の児童の学びの実態や学習内容に対応した、弾力的な時間割の設定が望ましいとも考えられる。1.(2)で見たような、朝や昼、放課後などの15分程度を、短時間の授業時間として教科の学習に充てたり、土曜日に実施される授業において、45分を超えた長時間授業の設定を弾力的に行ったりする様々な工夫は、児童の実態や学習内容を踏まえつつ、学びの質を高めるための創意工夫の一例であると捉えることができる。
○ 時間割編成に当たっては、生活や学習のリズムを確立するための恒常性と、児童の実態や学習内容に応じて学びの質を高めるための弾力性のバランスを考えながら、児童や学校、地域の実態に応じた編成を行っていくことが求められる。

 中盤から雰囲気が変わってきましたね。

そう、45分という時間設定が望ましいとする前段の引用部は一定程度踏まえつつも、45分以外の設定を「けしからん」というのではなく、「創意工夫の一例」としてむしろ推奨しているように見えます。

確かにいろんな児童がいて、いろんなケースがあるでしょうから、必ずしも45分でなくとも、それこそ「実態に合わせて創意工夫する」こともあっていいのでしょうね。

 

このレポートはその後、こんな内容へと進んでいきます。

新しい教育課程における時間割編成については、中学年からの外国語活動及び高学年からの教科としての外国語科の導入に伴う授業時数の増にどのように対応していくか、ということが喫緊の課題となっている。

(1)考えられる選択肢

○ 新しい学習指導要領の方向性や、各小学校における時間割の現状を踏まえつつ、3.(1)及び(2)において整理した基本的な考え方に基づき、今後中学年及び高学年でそれぞれ年間35単位時間増となる授業時数を確保しながら時間割を編成していくに当たり、取り得る選択肢としては以下のような例が考えられる。

①年間授業日数を増加させて時間割を編成(内容省略)

②週当たりの授業時数を増加させて時間割を編成(同上)

②-2 45分授業のコマを週一つ増やして設定(同上)

③年間授業日数の増と週当たり授業時数の増を組み合わせて時間割を編成(同上)

 ああ、なるほどね、とうなづいた方もいらっしゃることでしょう。

このたびの学習指導要領では小学校での時数増が大きなテーマになっています。

その時間をどうやって確保するのか、その解決方法を記したのがこのレポートだった、ということです。

学校教職員の業務過多をいかに解消していくか、という観点でまとめたものなのでは、と期待して読んでみた私は、苦笑いする結果になりました。

 

学校はますます忙しくなりそうです。

効果的な教育実現のため、時間割をいかに持つかということはもちろんですが、それに加えて、組織として教育活動を遂行する重要性はさらに高まったように思います。

いつも熱心に働いておられる教職員の皆さんに想いを致しつつ、特に私学は経営のしくみとして業務全体の時間割、スケジューリングを考える機会にしていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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