2016年12月に文部科学省が「21世紀出生児横断調査」の結果を
発表しました。
本日はこの調査結果の一部をご紹介いたします。
まずは、調査の概要を見てみましょう。
<調査の目的>
21世紀の初年に出生した子供の実態及び経年変化の状況を継続的に観察することにより,子供や若者を取り巻く環境が,その後の進路選択等に与える影響を明らかにし,教育及び就業に関する国の諸施策の企画立案,実施等のための基礎資料を得ることを目的とする。
<調査の対象>
全国の2001年(平成13年)1月10日から同月17日の間及び同年7月10日から同月17日の間に出生した子とその保護者。双子,三つ子についてもそれぞれの子を対象とする。
<調査事項>
同居者,学校生活のようす,起床時間・就寝時間,1か月の子育て費用,父母の就業状況,就業意識 等
このような調査が行われていることを私は全く知りませんでしたが、
調査の目的にあるとおり、子供を取り巻く環境について経年変化の
状況を把握することができるので、非常に興味深い調査だと思います。
まず、子どもが思う悩みや不安の種類については、「学校や塾の成績に
関すること」と「進路に関すること」と回答した子供の割合が他の回答
と比較し圧倒的に高くなっており、学年が上がるに連れてその割合も高く
なっています。
- 学校や塾の成績に関すること
男児:(中1)15.9% ⇒ (中2)17.4%
女児:(中1)25.7% ⇒ (中2)31.5%
- 進路に関すること
男児:(中1) 9.4% ⇒ (中2)16.2%
女児:(中1)14.6% ⇒ (中2)29.2%
女の子の方が繊細ということなのか、将来のことをしっかりと考えている
ということなのかはわかりませんが、男児と女児で割合に大きな差がある
のは興味深い結果ですね。
では、子どもの成績や進路の悩みについて、親はしっかりと向き合うことが
できているのかが気になるところですが、この調査では家庭での母、父との
会話の状況についての結果も出ています。
- 勉強や成績のことについて
男児:よくする 母:28.0% 父:16.6%
ときどきする 母:43.7% 父:29.7%
あまりしない 母:21.8% 父:32.1%
まったくしない 母: 5.7% 父:13.4%
女児:よくする 母:35.0% 父:16.1%
ときどきする 母:44.0% 父:36.0%
あまりしない 母:17.3% 父:31.9%
まったくしない 母: 3.0% 父:14.3%
- 将来や進路のことについて
男児:よくする 母:15.2% 父:11.1%
ときどきする 母:36.9% 父:29.7%
あまりしない 母:35.4% 父:37.6%
まったくしない 母:11.7% 父:19.3%
女児:よくする 母:22.0% 父:9.7%
ときどきする 母:40.7% 父:28.1%
あまりしない 母:30.1% 父:39.6%
まったくしない 母: 6.5% 父:20.8%
いずれの質問についても、男児、女児ともに、お父さんとの会話が
少ない傾向にあることがわかります。いかにも日本的という感じの
結果ですが、我が子のことですのでお父さん方にはもう少し頑張って
いただきたいものです。
また、上記の結果からは、勉強や進路のことについては学校任せに
なっていると思われる保護者が少なからず存在するということも
読み取れます。
このような状況にあること自体が、学校が家庭や地域を巻き込んで
活動していくことを阻害する要因となっているとも考えられます。
学校の様々な活動について保護者の方々に理解を深めてもらうことは
一朝一夕にはいかないでしょうが、子ども達の将来のことを考えると、
根気強く継続的に訴えかけていく必要がありそうですね。
(文責:木村)