寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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「学校事故対応に関する指針」に基づく適切な事故対応の推進について

学校が最も気を遣うこと、それは「安全」ではないでしょうか。

校内外を問わず、学校における各種活動においては安全面への留意が欠かせません。

特に昨今は保護者をはじめ周囲からの安全に対する要請も強烈なものがありますので、そこまでしなくても…というレベルの安全対策が求められるケースもあるように感じています。

 

ところがその一方で、どれほど注意していても発生するリスクをゼロにできないのが「事故」、とも言えます。

そんな事故にどう対応するのか、という点をまとめた指針が昨年3月に公表されたのですが、その後の運用を踏まえ、このような通知が追加で出されています。

文部科学省HPより。

 

「学校事故対応に関する指針」に基づく適切な事故対応の推進について:文部科学省

 

この記事の冒頭にこのような記載があります。

  指針公表後半年以上が経過し、多くの学校及び学校の設置者等においては、既に適切な対応がなされていることと思いますが、未だ一部の学校及び学校の設置者等において、指針の趣旨・内容に関する認識が十分でないと思われる例が見受けられます。事故発生後に適切な対応を行うため、学校、学校の設置者及び地方公共団体の担当部局において、指針に関する理解を一層深めていただく必要があります。

 

ちなみに、御校では本指針は共有されておられますでしょうか。

この機会に指針自体も確認しておくことにしましょう。

同じく、文部科学省HPに指針公表時の記事も掲載されています。

 

「学校事故対応に関する指針」の公表について(通知):文部科学省

 

指針の概要について、以下少し長くなりますが引用します。

太字及び下線は筆者が付しました。

お読みいただく際の参考になれば幸いです。

1 事故発生の未然防止のための取組
(1)学校は、教職員が事故等の発生を未然に防ぎ、万一事故が発生しても児童生徒等の安全を確保できるよう、教職員の研修の充実を図ること。併せて児童生徒等の安全教育の充実を図ること。さらに、学校保健安全法第27条及び学校保健安全法施行規則第28条に基づき、安全点検を計画的に実施し、必要なマニュアルの見直し及び整備を図ること。マニュアルの見直しの際には、文部科学省ポータルサイト文部科学省×安全教育」を活用し、情報収集に努めること。また、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の「学校事故事例検索データベース」等を活用し、事故事例の収集を行うとともに、ヒヤリハット事例についても教職員間で共有し、事故の未然防止に努めること。学校の設置者、都道府県私立学校主管課及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の学校設置会社担当課(以下「都道府県等担当課」という。)においても、学校事故の事例や傾向を提供し、事故の未然防止のための取組に係る支援・助言を行うこと。

(2)学校は、緊急対応のための役割分担表の作成等、組織的な危機対応が行えるよう体制整備を図ること。その際、事故発生時に管理職が不在の場合でも組織的な対応が行えるように留意すること。また、学校外での活動の際の対応や休日における連絡体制等についても整備すること。

(3)学校は、地域学校安全委員会等の機会を通じて日頃より、家庭、地域、関係機関等との連携を図るようにすること。

2 事故発生後の取組
(1)事故発生直後の取組
ア 事故発生時にはまず事故にあった児童生徒等の生命と健康を優先し、応急手当を実施すること。被害児童生徒等の保護者へ、事故の発生状況に係る第一報を可能な限り速やかに実施すること。
イ 学校は、死亡事故及び治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う場合等重篤な事故(事故発生時点においては治療に要する期間が未確定の場合であっても30日以上となる可能性が高いと学校が判断したもの及び意識不明の事故を含み、治療に要する期間が30日以上かかる場合でも骨折や捻挫等の事案は事故の発生状況等により報告の有無を判断)の場合は、学校の設置者等に報告を行うこと。
なお、公立学校の設置者は報告を受けた事故情報について、当該地方公共団体の長にも必要に応じて情報提供を行うこと。
ウ 死亡事故については国に報告を行うこと。

(2)基本調査

ア 基本調査は、学校の管理下で発生した死亡事故及び(1)のイの報告対象となる死亡以外の事故のうち、被害児童生徒等の保護者の意向も踏まえ、学校の設置者が必要と判断した事故について、調査対象となる事案の発生後速やかに学校がその時点で持っている情報等を整理するものであり、学校の設置者等の指導・助言の下、学校が実施すること。その際、学校の求めに応じて学校の設置者等は人的支援を行うように努めること。原則として3日以内を目途に、関係する全教職員からの聴き取り調査を行うとともに、心のケアに留意しながら、必要に応じて、事故現場に居合わせた児童生徒等の聴き取り調査を行うこと。
イ 基本調査の経過及び整理した情報については適切に被害児童生徒等の保護者に説明することとし、最初の説明は、調査着手からできるだけ1週間以内を目安に行うこと。
ウ 詳細調査への移行の判断は、被害児童生徒等の保護者の意向に十分配慮した上で学校の設置者が行うこと。その際少なくとも次の場合には詳細調査に移行すること。
・教育活動自体に事故の要因があると考えられる場合
・被害児童生徒等の保護者の要望がある場合
・その他必要な場合

(3)詳細調査
ア 詳細調査は、公立学校及び国立学校においては特別の事情がない限りは学校の設置者が、私立学校及び株式会社立学校においては、学校の設置者が行うものではあるが、学校法人の求めに応じ、必要と認められる際には都道府県等担当課が、中立的な外部専門家が参画した調査委員会を設置して行うこと。詳細調査の経過については、適宜適切に被害児童生徒等の保護者に情報提供すること。
イ 詳細調査の報告書については調査の実施主体である学校の設置者等が公表すること。その際に、調査委員会又は学校の設置者は被害児童生徒等の保護者に調査結果の説明を行うこと。
ウ 調査結果の報告については国にも提出すること。

(4)再発防止策
学校、学校の設置者等は報告書の提言を受け、同地域の学校や教職員間等で報告書の内容について共通理解を図るとともに、速やかに具体的な措置を講ずること。講じた措置及び実施状況について、適時適切に点検・評価すること。
国においては、提出された報告書を基に情報を蓄積し、教訓とすべき点を整理した上で、学校、学校の設置者及び都道府県担当課に周知するので、類似の事故の発生防止に役立てること。

3 被害児童生徒等の保護者への支援
被害児童生徒等の保護者への対応においては、学校の窓口を一本化し、学校と被害児童生徒等の保護者間の連絡を円滑に行えるように留意すること。学校の設置者等は、必要と認められる場合には、双方にコミュニケーションを取ることができ、中立の立場で現場対応を支援するコーディネーター(事故対応の知見を有する都道府県又は市区町村の職員、学識経験者等)を派遣することも考えられること。

4 他の指針との関係について
以下に示す案件については、個別の案件の実情に応じた既存の指針等が整備されていることから、当該事案が発生した際には、第一義的には、以下の指針等に基づいた対応を行うこととし、当該指針等に記載のない対応については、本指針を参考とすること。
(1)幼稚園及び認定こども園における事故
教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
(平成28年3月 内閣府文部科学省厚生労働省
※ 子ども・子育て支援新制度における「施設型給付」を受けない幼稚園は本ガイドラインの対象には含まれないが、本ガイドラインも参考にしつつ適切な対応が行われること。

(2)児童生徒の自殺
○子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂版)
(平成26年7月 文部科学省
○いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)※いじめが背景に疑われる場合

(3)学校給食における食物アレルギー事故
○学校給食における食物アレルギー対応指針
(平成27年3月 文部科学省

言葉にすれば当然のことを多く含んでいますが、それでもこのような指針を各校において共有しておき、万一に備えることは非常に重要なことだと感じます。

 

指針の内容を大まかにまとめるなら、

①予防(事故発生を防ぐための方策)

②発生直後の対応(安全確保・情報伝達)

③検証(原因追究)

④再発防止

がポイントになるように思います。

 

そしてこれらはすべて「PDCA」に対応するものだと感じます。

すなわち、

①予防=事故が発生しないように「計画」

②発生直後の対応=「実行」段階での留意事項

③検証=事故発生に関する「評価」

④再発防止=より良さを求めての「再実行」

という4段階です。

 

学校経営における基本がPDCAにある、ということがこのようなところにもあてはまりそうです。

学校環境を整備する中で、安全確保のためのPDCAを意識してみてくださいね。

 

(文責:吉田)

 

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