先日、文部科学省が「平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査」の
結果を公表いたしました。
平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査について:文部科学省
調査の目的、対象、期間は以下のとおりです。
(調査目的)
教職員の人事管理に資するため、公立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校における教職員の人事行政の状況について、調査を実施しているもの。
(調査対象及び調査対象期間)
47都道府県及び20指定都市の計67教育委員会を対象。平成27年度の状況を中心に調査。
(調査項目)
調査項目が広範囲に渡り、数多くの資料が公表されていますが、
今回の調査の主な特徴として以下が挙げられています。
- 精神疾患による病気休職者数は、5,009人(0.54%)で、昨年度(5,045人(0.55%))から微減。
- わいせつ行為等により懲戒処分等を受けた者は、244人(0.02%)で、昨年度(205人(0.02%))から増加。
- 体罰により懲戒処分等を受けた者は、721人(0.08%)で、昨年度(952人(0.10%))から減少。
- 女性の管理職(校長、副校長及び教頭)は、11,279人(16.1%)で、昨年度(15.7%)から増加し過去最高。
- 今回、新たに育児休業等の取得割合を調査した結果、育児休業の取得割合は男性1.8%、女性96.5%。
- 今回、新たに介護休暇の取得者数を調査した結果、介護休暇の取得者数は全体で1,396人。
体罰による懲戒処分の減少、女性管理職の増加など、前年と比較し
改善されている、または良い変化が表れている項目もありますが、
今回は精神疾患による病気休職者数について少し掘り下げてみたいと
思います。
メンタルヘルス不調を引き起こす大きな要因として、長時間労働の
常態化が一番に考えられるでしょう。
昨今、教職員の長時間労働については大きくクローズアップされており、
解消に向けた取り組みが始まっていることとは思いますが、
今回の調査においては、精神疾患による病気休業者数を昨年と比較すると
大きな数値の変化は見られず、また、過去10年間においても全体の0.5%
程度で推移しており、残念ながら改善傾向はみられません。
では、他産業と比較し、精神疾患による病気休職者数の割合は
多いのでしょうか、少ないのでしょうか。
厚生労働省の「平成27年労働安全衛生調査」によると、メンタルヘルス不調
により連続1か月以上休業した労働者は、全産業平均で0.4%となっています。
全産業平均と比較すると教職員の精神疾患による休職率は高くなっており、
教職員の方々に過度の負担が掛かっている状況であると言えます。
教職員の方々に求められることは非常に多く、その結果として長時間労働が
常態化し、場合によってはメンタルヘルスの不調を訴えるといった構図かと
思います。
学校における主役である児童・生徒達のためにも、もちろん教職員の方々
ご自身のためにも、このような問題の解決は個々の教職員に委ねるのではなく、
組織として抜本的な解消を図っていただきたいと願うばかりです。
(文責:木村)