先日の日本経済新聞に、こんな表題の記事が掲載されていました。
学長アンケート(上)入試改革「既に実施」3割 民間試験も活用 自宅でAO受験 :日本経済新聞
(会員限定記事となっております。ご了承ください)
このアンケートの対象は有力大学の理事長・学長(有力大学、というのが何とも…)。
その結果、
・「既に入試改革を実施した(一部実施も含む)」…31.0%
・「実施する予定が決まっている」…14.8%
・「実施を検討している」…29.0%
を合わせると74.8%の大学が改革に意欲的に取り組む姿勢を示しているようです。
そして、実施の方向性を示す大学のうち半数が2020年度以前にその入試改革を実施するとのこと。
具体的な入試方法を尋ねた結果もあるのですが、英語の民間試験の利用について56.9%が「既に利用した(一部導入も含む)」と回答していて、「検討している」(20.7%)と「利用する予定が決まっている」(7.8%)を含めると約85%となっています。
入試で重点を置く項目については「学力」(90.3%)が最多、続いているのが「意欲や志」(65.2%)とのことです。
大学入試改革、そしてそれに伴う理解力重視への舵切り、アクティブラーニングの実践推奨等については、各校でいろいろと対応が練られているものと思います。
そんな中、先日訪問した某校では
「いろいろ変わる方向で制度は進んでいるようだが、教職員が変わらなければ本当の意味では変わりようがない」
とのご意見を耳にしました。
このご発言を聴き、そこには2つの相反するお気持ちが含意されている、と感じました。
1つは、「相当の準備をせねばならない」という、積極的な意味あいです。
制度がいくら変わっても、そして学校のしくみやカリキュラムを変えたとしても、それを実践する教員こそ、能力・技術・意識の面で変化せねばならない。
それは確かにそうでしょう。
大学入試で点数を取る、ということに対する指導法がこれまでよりも複雑化するであろうことを踏まえると、当然の帰結と言えます。
もう1つは、上記の逆。すなわち、
「教職員は急には変われないのだから、実際にはそれほど状況(方法)も変化しないのでは?」
という意味です。
確かに、大学へ生徒を送り込む高校、あるいは中学においてはそのような雰囲気が漂っているケースもなきにしもあらず、だと感じます。
教育現場において、これまでの指導方法から一気に大きな変化を遂げることはおそらく難しいでしょう。
ただ、「送り手」である学校はそうであっても、「受け手」である大学サイドはそうとは限りません。
それどころか、今回の新聞記事にあるように、すでにかなりの大学が受入方法を変化させる準備を進め、それが整った、あるいは整いつつある大学が全体の4分の3を占めるに至っているわけです。
国策としての制度が変わったとしても、子どもたちの成長を願う気持ちは変わりません。
制度への対応はもちろん必要ですが、その際に子どもたちの育ちを中心に据えて議論を深めることが当然大切です。
このことは当然のことではありますが、ともすると忘れられがちなことでもある、と私は日々の活動を通じて感じています。
子どもたちの未来のために、各校の取組が深まることを願っています。
(文責:吉田)