まずはお知らせから。
今週金曜日に弊社主催セミナーが開催されます。
大切という認識はあるものの、目の前の問題に追われて後回しになるのが人材育成。
多くの学校では、その仕組みがなく、人材を採用に頼るケースが多く見られます。
本講では「人財」を校内で効果的に育成する方法を、リーダーシップと部下指導の観点からお伝えします。
お申し込みがお済みでない方は、ぜひこちらからどうぞ。
さて本題。
本日は文部科学省から発表された統計のご紹介です。
まずは簡単に内容を引いておきましょう。
○ 平成26年度に支出された学校教育費は13兆5,093億円となり,前年度と比べて3,534億円(2.7%)増加した。
○ 支出項目別にみると,消費的支出のうち人件費が前年度と比べて1,360億円(1.5%)増となった。これは,国家公務員給与の減額措置期間が終了し,これに準じ減額を行っていた地方公共団体における地方公務員の給与が増加したことが影響していると考えられる。
○ また,資本的支出は平成25年度に引き続き,26年度も大幅な増加となった。これは,学校施設の耐震化・老朽化対策工事等が多く実施され,建築費が多額に上ったためと考えられる。
○ 財源別にみると,地方債の額は過去最高となっており,これも建築費の増加に伴うものと考えられる。
○ 在学者一人当たりの学校教育費は,小学校94万円,中学校107万2千円,高等学校(全日制)115万2千円と,いずれも平成24年度以来2年ぶりに増加し,小学校で過去最高となった。
いかがでしょうか。
本調査は公立校を前提とした調査ですので、私学の皆さんはそれほど注意深くご覧になっていない記事かもしれません。
一方で、この記事をどの立場で読むかによってかなり感じ方が異なるようにも思います。
例えば親の立場からすると…
「教育にかけるお金が増えたのはありがたい」
「ただ、使い道はどうなのか。
校舎の補強はいいけれど、先生のお給料のために学費の多くが使われるのはなあ…」
そんな感想でしょうか。
では、例えば子供のいない大人たちはどうか。
教育の重要性を理解していない大人たちは、ともすると
「税金の使い道が学校に偏ると自分たちが損してしまう」
といった想いを抱いてしまうかもしれません。
公立校関係者はどうか。
「やっと給与の減額措置は終わったけれど、
それでも昇給がままならないのはきついよなあ」
という意見も多そうです。
さて、私学の皆さんはそれぞれの立場を踏まえつつ、
「もし調査対象が自校ならどうか」
を想像してみていただきたいと思います。
本調査を私学対象の調査だと考えた場合、「学校教育費」の総額は学校の支出全体を示す、つまり『資金収支計算書の「支出の部」』と読み替えればいいことになります。
御校の支出総額はいわゆる経費と投資にどのような割合で配分されているでしょうか?
同様に、本調査でいう「消費的支出」は、私学における『人件費と教育研究経費の合計額』と考えることができます。
さて、御校の人件費と教育研究経費の割合は、公立校と比べてどうでしょうか?
そのように比較すると、公立校はかなり人件費の割合が高いように感じますね。
また、「在学者一人当たりの学校教育費」も先ほど同様、御校の在学者1人当たり支出と読み替えた場合、その数値が過年度からどのように推移しているか、を見てみると気づきがあるかもしれません。
同じく在学者1人当たりの学納金も算出し、先ほどの数字と照らし合わせてみれば、保護者から見た収支バランスが把握できますよね。
当事者と第三者では見え方が大きく異なるものです。
今回ご紹介した統計も、ぜひいろんな角度、いろんな立場から想像を膨らませてみていただければと思います。
(文責:吉田)