寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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公立小・中学校及び高等学校における教育課程の編成・実施状況調査

ちょっと投稿が空いてしまいました。

書いている本人からするとずいぶん空いた感覚がありますが…

すみません。

では本日の話題を。本ブログでは珍しい、教育内容に関する記事です。

 

平成27年度公立小・中学校及び高等学校における教育課程の編成・実施状況調査の結果について:文部科学省

 

公立校においてどんな授業が展開されているのか、ある程度知ることができます。

抜粋しながら進めてまいります。

以下、小・中の結果を見てみましょう。

 

まずは「小・中学校の授業時数の状況」から。

ちなみに、()内は平成25年度の数字を示しています。

平成27年度(計画)における公立小・中学校の授業時数について、学校教育法施行規則に定める標準授業時数との関係を見ると、
・ 標準授業時数と同数の授業時数を設定している学校が小・中学校共に約3割、
・ 標準授業時数を超えて授業時数を設定している学校が小・中学校共に約7割
うち標準授業時数を年間70単位時間を超えて上回っている学校は、例えば、小学校第5学年では32.5%(25.0%)、中学校第1学年では19.3%(21.7%)となっている。
・ 全体の平均値で見ると、多くの学年で標準授業時数を年間40~50単位時間程度上回る状況であるが、中学校第3学年については、標準授業時数を上回る時数が約15単位時間と他学年に比べ少なくなっている。

この結果からすると、標準時数との比較では小学生の実際時数がかなり多くなっているようですね。

 

次に「短時間学習の実施状況」について。

ちなみに「短時間学習」とは、5分、10分、15分などの時間を単位として取り組む帯学習、モジュール学習などの学習形態を指す、と本報告書に記載があります。

平成26年度に短時間学習を実施した学校は、小学校においては約74.8%、中学校においては約64.8%。

週当たりの実施状況については、短時間学習を実施している学校のうち、多くの学校が週に5日以上実施している。

と、かなりの学校に上ります。 

 

さらに「教科等の担任制の実施状況」。

教科担任の実際の形態としては、教員の得意分野を生かして実施するもの、中・高等学校の教員が兼務して実施するもの、非常勤講師が実施するものなどを含んでいます。

平成27年度に、教科担任制による指導を実施する予定の公立小学校の割合は、ほとんどの教科及び学年において、平成25年度よりも増加している。

特に、第5学年及び第6学年では、教科等の担任制による指導を実施する予定であると回答した学校が、音楽で約6割、理科で約5割、家庭で約4割となっている。外国語活動については、前年より5ポイント以上増加している。

小学5,6年生における教科担任制は公立でもかなり増えてきている様子が見て取れます。

 

続いて、「個に応じた指導の実施状況」について。

個に応じた指導の代表例は「少人数指導」と「チーム・ティーチング(TT)」です。

前者に関する説明は以下の通り。

例えば、①2学級を3つの学習集団に分けるなど学級の枠を超えて学習集団を編成し、それぞれの学習集団を異なる教師が指導する場合や、②1学級を2つ以上の学習集団に分け、それぞれを異なる教師が指導する場合など、通常の学級集団よりも小さい学習集団を編成して指導を行う場合。年間を通して実施するものだけでなく、特定の単元等、特定の時期のみ実施するものも含む。 

 そしてTTの説明が以下の通り。

例えば、①1学級を単位とし、学習集団を分けずに複数の教師が協力して指導する場合や、②1学級内又は学級単位を超えて学習集団を編成し、全部または一部の学習集団に対して複数の教師が協力して指導する場合など、1学習集団に対し2人以上の教師が協力して指導する場合。年間を通して実施するものだけでなく、特定の単元等、特定の時期のみ実施するものも含む。

そしてこれらの実施割合は非常に高くなっています。

平成27年度に、個に応じた指導として、少人数指導を実施する学校の割合は、公立小学校、公立中学校共に67.4%、TTを実施する学校の割合は、公立小学校において81.0%、公立中学校において83.3%。

少人数指導、TTを実施する場合は、多くの学校が補充的な学習を取り入れた指導を実施している。

 

「土曜授業の実施状況」はどうでしょうか。

土曜授業は「児童生徒の代休日を設けずに、土曜日、日曜日・祝日を活用して、教
育課程内の学校教育活動を行うもの」と定義されています。

平成27年度、小学校において土曜授業を実施しているとした学校の割合は24.6%。中学校においては25.0%。

年間の実施回数については、小中学校共に5割程度の学校が「月1回程度」と回答している。

「土曜日の教育活動の実施状況(平成 27 年度)」によると、土曜授業、土曜の課外授業、土曜学習のうち、いずれか一つでも実施予定の学校の割合は、小学校51.1%、中学校38.1%、高等学校55.2%、全体で47.8%となっている。

土曜を学校で過ごすケースは多くなっているようですが、授業を実施しているのは全体の4分の1程度。今後、土曜日の位置づけはどうなっていくのでしょうか。

 

そして、近時話題の「アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善に向けた取組の実施状況」について。

こちらはグラフでしか出ていないので、概要を拾ってみますと、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善に向けた授業研究、校内研修等の取り組み状況については、「実施している」が半数弱、「準備段階」が約17%、「検討段階」が4分の1、「実施していない」が約1割。

小学校と中学校、どちらもほぼ同じ結果が出ています。

ちなみに、この報告書には「アクティブ・ラーニングの視点からの不断の授業改善:3つの要素」が書かれていますので引用しておきましょう。

① 習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置きつつ、深い学びの過程が実現できているかどうか。
② 他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程が実現できているかどうか。
③ 子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程が実現できているかどうか。

 

最後に、「カリキュラム・マネジメントの確立に向けた取組の実施状況」について。

こちらはアクティブ・ラーニングに比べるとやや遅れていて、実施率は小学校で37.5%、中学校で32.2%となっています。

こちらも「カリキュラム・マネジメントの3つの側面」として、定義代わりの着眼点が書かれていますので参考までに引いておきます。

① 教育内容を、一つの教科に留まらずに各教科横断的な相互の関係で捉え、効果的に編成する。
② 子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程の編成、実施、評価、改善のサイクルを確立する。
③ 教育内容と、指導体制や ICT 活用など諸条件の整備・活用を効果的に組み合わせる。

 

こうやって見てくると、公立校もこれまでとは異なる取組が数多く展開されていることが分かります。

私学の優位は何といっても教育内容。

そう言い切っていただくために、公立校での教育内容についても研究の上、御校ならではの教育を末永く実践していただきたいと心から願う次第です。