ここ大阪も寒い朝を迎えております。
各地で風雪が強まっているようですね。どうかお気を付けください。
さて、先日「改めて採り上げる」と宣言?していた、文科省予算案について本日は詳しく見ていきましょう。
資料はこちらです。
平成28年度文部科学省 予算(案)の発表資料一覧(1月):文部科学省
まずは文科省の重点がどこにあるのか、という点について。
文教関係予算のポイントはこのように記載されています。
《社会を生き抜く力の養成》
・教員の「質」と「数」の一体的強化や初等中等教育の教育課程の充実、高大接続改革の推進など
《未来への飛躍を実現する人材の養成》
・大学改革の推進やグローバルな視点に立って活躍する人材の育成など
《学びのセーフティネットの構築》
・幼児教育無償化に向けた取組の段階的推進や大学等奨学金事業の充実、学校施設等の老朽化対策など
をはじめとする「教育再生」を実現するための施策に重点化。
このように、大きく3項目にまとめられている施策ですが、昨年度予算からの増額幅で見てみると、3番目の「学びのセーフティネットの構築」の増額が目立っています。
どのような施策が含まれるかと言えば、
・幼児教育無償化に向けた取組の段階的推進(平成27年度予算よりも22億円増)
・学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策の推進(同4億円増)
・高校生等奨学給付金の充実(同52億円増)
・国立大学・私立大学等の授業料減免等の充実(同14億円増)
・公立学校施設の老朽化対策を中心とした教育環境の改善等の推進(同64億円増)
といった具合です。
特に奨学金の充実、そして施設老朽化対策の増額幅が大きくなっていますね。
そして大項目の2つめ、「未来への飛躍を実現する人材の養成」には私学助成関係も含まれています。
この大項目中で昨年度より増額されているのは以下の3つ。
・私立高等学校等経常費助成費等補助(同14億円増)
・私立学校施設・設備の整備の推進(同12億円増)
・初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成(同18億円増)
経常費助成については「特色ある取組の支援」の増額幅が一般補助よりも大きくなっていますので、そちらに舵を切っているという状況がよく分かります。
最後に大項目の1つめ、「社会を生き抜く力の養成」には施策としては最も多くのものが含間れている中で、 文科省と財務省の綱引きの結果が気になる教員の数についての議論も項目の一つになっています。
案の段階ではありますが、このような内容で掲載されています。
・教員の「質」と「数」の一体的強化(同5億円減)
教職員定数の改善増…11億円増(+525人)
少子化等に伴う定数減…85億円減(△4,000人)
教職員の若返りによる給与減等…170億円減
人事院勧告に伴う給与改定…231億円増
これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上…18億円増
多彩な人材の参画による学校の教育力向上…6億円増
自然減はあるものの、定数配置は充実させたいという意図が見えますし、教員を育てるという活動、あるいは専任教員以外の人材の活用等への取組を意識している内容になっています。
上記以外には「高大接続改革の推進」として50億円が計上されており、この額は昨年度比38億円増と大幅増になっています。大学入試改革等がいよいよ本格的に準備開始となるようです。
いかがでしょうか。
予算はまだ「案」の段階ではありますが、国の施策の意図、方向性はかなり見えてくるように思います。
本日のブログではポイントになりそうなことをまとめてお伝えしてみました。
もっと細かい点が気になる方はぜひリンク先の資料をご確認ください。
そして、私学経営における「外部環境」の把握に役立てていただければ幸いです。