寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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私立大、国立大の2倍 大学の教員1人あたりの学生数

学校経営において永遠の課題とも言うべき事柄のひとつはこの「教員1人当たりの子どもの数」をどうするか、ではないでしょうか。

私大のその数がなんと国立大の2倍である、というニュースを本日はお届けします。

朝日新聞より。

 

(ひらく 日本の大学)私立大、国立大の2倍 大学の教員1人あたりの学生数 朝日新聞・河合塾共同調査:朝日新聞デジタル

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この記事の基になっているのは、朝日新聞河合塾が共同で実施した「ひらく 日本の大学」調査。

ここ数年にわたって調査を続けておられるようです。

調査全体についてはこちらからアクセスできます。

朝日新聞デジタル:朝日新聞×河合塾 共同調査「ひらく 日本の大学」

 

まずは記事の冒頭部分を引用します。ただし下線部は私が勝手に付けたものです。

教育の質の一要素とも言われる、大学の専任教員1人あたりの学生数(ST比)。共同調査で、国立大が12・6人なのに対し私立大は23・4人と倍近いことがわかった。数字が小さいほど教員1人当たりの学生数が少ないことを示し、少人数のきめ細かな教育をしやすいとされる。

主な学部別では経済・経営・商学部が34人で、理学部は14・3人。文系と理系の学部で差が出る傾向があった。

世間の認識としても、下線部のような見方が多数派であるように感じます。

記事に引用されている他のデータとしては、

・最もST比の大きかったのは、私立の経済・経営・商(35.4人)

・続いて、私立の法・政治(35人)、公立の法・政治(32.7人)

・規模別では3千人以上の大学で31.4人、300人未満の大学で9.9人

・改善についての問いでは「既に実施している」が19.8%、「実施を検討中」が14.8%、「実施しない」が57.9%

となっています。

 

ST比が小さい方が教育環境として良いのか?

この点については、教育関係者の中でも意見が割れるところではないでしょうか。

ただ、先ほども触れたように、一般的には「少人数の方がきめが細かく、個に対応できるのだから、良い教育環境と言える」というふうに思われていることが多いようにも思います。

私自身の経験をふりかえると、ベビーブーム世代であることもあって、田舎出身でありながら小学校は1クラス32人、中学と高校はいずれも1クラス45人と、それなりの人数がひしめく中で学校生活を送りました。

極めつけは大学で、自分が所属したクラス(大学にも配属されるクラスがあることに当時驚いたのですが)は実に60名近い人数だったように思いますし、選択している授業では100人単位など当たり前、という状態でした。

大学は風土自体が「ほったらかし」だったので、あまり参考になりませんが、それでも多くの同級生に紛れながら遊んだり運動したり勉強したりすることが、それほど悪い環境だったとは思っていません。

このへんは自らの経験、あるいは自らの家族の経験が意見の形成に大きな影響を及ぼすものなのかもしれませんね。

 

ちなみに記事では、現在ST比を下げる取組を行っている立命館大学の例が、上記統計に続いて採り上げられています。

その中で、同大法学部教授がこんなコメントをおっしゃっています。

「ST比を改善したから教育の質が上がるということではない」

「授業の個性より共通性の方が重要になる。カリキュラムや試験の採点基準の調整を教員らでするようにしてこそ、授業の質が保たれる」

一方、なぜいまST比の改善に踏み切ったのか、という点については、事務部長のコメントがこのように紹介されています。

小中高校の授業の小規模化や、大学の学問が発展して多岐にわたっていることを指摘。「大学に入って急に大集団の中に置かれて戸惑う学生も少なくない。授業を少人数にするのは大学での自主的な学びに慣れる橋渡しの意味がある」

 

私学にとっては、最大の支出である人件費に大きくかかわるST比。

仮に少人数学級がより良い環境であると判断したとしても、その実現には支出のコントロールという課題が付きまといます。

 

自校が目指す教育の成果とは?

その成果を生むために整えるべき教育環境とは?

そして、その教育環境のためにはどんな経営が必要なのか?

 

事業計画を策定すべきこの時期に、ぜひともしっかりと考え、学内でも意見をたたかわせていただきたいと思います。

そして明後日の弊社セミナーにもぜひ足をお運びください(残席まだあります)。

【計画策定】実現可能性の高い事業計画を策定するために~学校における望ましいPDCAサイクル~|株式会社 ワイズコンサルティング