普段はどうしても中高関連の情報が多くなりがちな本ブログですが、本日は幼稚園・保育所に関する統計のご紹介です。
関係者の皆様は必見です。
厚生労働省HPより。
調査の対象は幼稚園・保育所の両方、さらには認定こども園である幼稚園・保育所を含む、となっています。
また調査項目は以下の通りです。
①施設の状況等
設置場所(地域)/定員数/入所児童数/開所時間 等②施設設備の状況等
園舎、居室の面積、運動場・屋外遊戯場の設置状況/調理室の設置状況 等③収支状況
収入の状況/公費支援による収入・運営費・補助金収入、利用料収入、そのほかの事業収入、補助収入 等
支出の状況/人件費にかかる支出・人件費支出、管理事務等にかかる支出・事務費、事業費・教育研究経費・管理経費支出、その他の支出④実費徴収の状況
実費徴収の対象費目/実費徴収額 等⑤職員の状況
職種別の配置人員、平均勤続年数/職種別の給与月額
そして本データの公表は今月20日だったようなのですが、調査期日がそれに比べると古く、以下でご紹介する財務上の数値(上記③)については平成23年度の状況とのこと。
それでも参考にはなるのですが、できればもう少しタイムリーな情報であればなおよし、といったところでしょうか。
以下、ごく一部ですが、個人的に一番気になったところをまとめてみました。
○収入に対する各支出の割合(公立の場合には支出全体に占める割合)
・人件費
公立幼稚園:89.4%、私立幼稚園:63.5%
公立幼稚園:10.5%、私立幼稚園:25.0%
・減価償却費
公立幼稚園:0.1%、私立幼稚園:7.9%
○常勤換算1人当たり給与月額と平均勤続年数
・園長(施設長)
公立幼稚園:507,478円/32.1年、私立幼稚園:504,017円/27.4年
公立保育所:545,053円/33.6年、私立保育所:532,097円/24.1年
・教諭(保育士)
公立幼稚園:370,098円/13.8年、私立幼稚園:252,348円/7.2年
公立保育所:287,431円/11.8年、私立保育所:255,415円/9.9年
・非常勤講師(非常勤保育士)
公立幼稚園:179,437年/5.9年、私立幼稚園:192,337円/9.7年
ご覧になってみていかがでしょうか。
まず、収支構造に大きな差があります。
幼稚園の場合、公立では実に9割が人件費で、その他の経費がほとんどかからない構造ですが、私立では経費と減価償却費を合わせて収入の3分の1が費消されていることが分かります。
そして、程度の差はここまでではないものの、保育所の場合にも同様の傾向が見て取れます。つまり、公立よりも私立の方が他経費の割合が高くなっているということです。
さらには、幼保の差異についても確認できます。
私立のみを採り上げた場合、人件費割合は幼稚園の方がかなり低く、その分だけ他経費の割合が高くなっていることが分かります。
この点、公立とは逆の傾向になっているのが興味深いところです。もう少し具体的にお金の使われ方が知りたいですね。
また、幼保ともに、専任あるいは正職員の教員については、公私間の勤続年数に大きな開きがあります。
私立は公立よりも「専任は短く、非常勤は長い」状況で、これがそのまま給与額にも影響しているように思います。
ただ、私立の場合、現場での勤務においては幼保にそれほど差がないにもかかわらず、園長の給与にはかなり差があるのは不思議な気がします。もう少しデータを細かく見てみる必要がありそうですね。
そして、これらのデータを経営サイドから見るのと、消費者サイドから見るのではだいぶ違った景色が広がっているようにも思います。
利用者からすれば、子どもたちに直接還元される施設や保育材料にしっかりお金が回っている私立の方が公立よりも預け甲斐がある、というふうに捉えられる可能性が大きいようにも思うのですがいかがでしょうか。
幼稚園や保育所は、小中高と比べ規模は小さくなることが多いですが、経営の難しさは同様です。
今後に向けた収支構造、あるいは人員配置等をしっかり計画し、実践していただきたいと願っております。