寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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小中一貫の校舎に指針

本日は小中一貫校の設備面に着目した記事をご紹介します。

日本経済新聞より。

 

文科省、小中一貫の校舎に指針 階段やトイレで体格差考慮 :日本経済新聞

(会員限定記事となっております。ご容赦ください)

 

この記事が対象としている指針がどれを指すのか、記事中に具体的名称の掲載がないのですが、おそらくこれを指しているものと思われます。

報告書「小中一貫教育に適した学校施設の在り方について~子供たちの9年間の学びを支える施設環境の充実に向けて~」:文部科学省

 

いわゆる中1ギャップへの対処を主たる目的として制度化が進められたこの小中一貫校。

その一方で、中学と高校をつなげる中高一貫校以上に、9年間を1つの学校で過ごすための条件整備には難しさを伴います。

 

この記事にも記載があるように、まずは体格差が代表例。

小学校から中学校にかけては体格面での成長が著しいですから、小1と中3が同じ施設を使うことの不便さは想像に難くありません。

本報告書の中ではそのことに言及し、適切な施設整備に関して考慮することを求めています。

他にも、記事には「学び方の差」があるとの記載がありますし、精神面の成長にも配慮が必要になることでしょう。

学校施設は学校生活を下支えする大切な存在ですから、その整備には十分な配慮が求められます。

この報告書には実例の掲載もありますから、小中一貫校を設置する際には参考になる点もあるものと思われます。

 

この報告書が公表されたこのタイミングで、ちょうど桜美林さんが小中一貫校を設置されるというニュースを他で目にしました。

私立において義務教育学校の設置は進むのでしょうか。

少子化の中、私立小学校がどのような存在感を示せるのか、検討中の各校におかれましては十分な考察と調査が必要だと感じます。

 

最後に、本報告書中に記載されている、「施設整備に関する課題への対応の必要性」を引用して本日のブログを閉じたいと思います。

公立の小中一貫校を想定した内容になってはいるものの、私立、さらには小中一貫校でなくとも意識すべき施設整備の考察ポイントも示されておりますので、ご参考になさってください。

○ 現行の小・中学校の制度下における小中一貫教育の取組形態は様々であり、地域の実情に即した取組がなされていることが前述の調査結果によって明らかになった。
学校施設の整備に当たっては、このような小中一貫教育の取組の多様性に配慮しつつ、以下に示す施設整備に関する課題について対応していく必要がある。

① 計画・設計プロセスの構築
小中一貫教育を実施する学校施設の整備においては、各学校の特色のある教育課程などについて十分考慮し、小中一貫教育のための施設環境を検討する必要があるため、早い段階から関係者が参画する場を構築し、小中一貫教育に関するソフトとハードを総合的に検討していくことが求められる。

② 施設規模の設定
施設規模の設定においては、施設の計画・設計や整備後の教育活動などに影響を与えるため、長期的視点に基づき検討していくことが求められる。また、一体化する小・中学校施設の規模が大きくなる場合には、児童生徒の生活集団規模の設定や特別教室などの共同利用の計画等への影響を十分に検討することが必要である。

③ 施設形態の設定
小中一貫教育を実施する学校施設は、小学校と中学校の施設が一体的であるか、隣接する敷地に別々に設置されているか、異なる敷地に別々に設置されているか、といった設置状況の違いだけでなく、複数の小学校が中学校に接続する形態など学校の組み合わせの違いもあり、地域の実情や学校施設の実態等により様々10である。いずれの施設形態を選ぶにしても、9年間一貫した教育の実施に適した形態を設定することが求められる。

④ 既存学校施設の有効活用
近年、既存学校施設を活用した小中一貫教育の導入が増加しており、こうした対応は今後も増加していくものと考えられる。小中一貫教育の実施に適した施設環境を確保するため、必要に応じて改修整備することになるが、その内容については、既存の小・中学校いずれの校地・校舎を活用するかによって異なることに留意が必要である。
公立小中学校施設については、建築後25年以上を経過した建物が全体の約7割を占め、老朽化が深刻な課題となっている。小中一貫教育を実施する学校施設を整備する場合にも、効率的・効果的に老朽化対策を進め、学校施設を長寿命化していくことが求められる。