寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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低所得世帯の私大授業料負担 国立大と同等に

こんなニュースの表題を見つけました。

Economics Newsより。

 

低所得世帯の私大授業料負担 国立大と同等に

 

表題になっている話題は、自民党教育再生実行本部からの提言とのこと。

そこで、この提言全体はどんなものなのかと辿ってみました。

それがこちら。

 

教育再生実行本部 第4次提言

 

こちらをざっと眺めてみると、授業料負担軽減策とともに、気になる内容がたくさん書かれているではありませんか。

というわけで、この提言のサマリーを拾ってみました。

「チーム学校」の実現により教師が子供と向き合う時間を大幅に増加

〔実現のための3つの取組〕
●社会の有為な人材を学校に(教師の「国家免許」化、スクールカウンセラー等の制度的位置づけと全校配置)
●学校・地域人材によるチームの形成(「学校応援団」(コミュニティ・スクール、学校支援地域本部)の機能強化)
●校長のリーダーシップ強化と運営体制の充実(人事・予算等の校長の裁量権強化、主幹教諭の全校配置)
⇒『チーム学校推進法(仮称)』の制定へ

格差是正

「格差の再生産」を断つため、
●大学進学率が低くなっている低所得世帯からの大学進学者を増加させ、その大学進学率を全体平均並みに引き上げるため、8割近い学生が学ぶ私立大学について、年収 500 万円以下の世帯や多子世帯からの入学者の授業料負担を国立大学と同等にする
●低所得世帯の大学生や専門学校生のための新たな給付的支援制度の創設
⇒これにより、我が国の大学進学率を OECD 平均並みに高める
※私立大学の学生の納付金負担を、年収 500 万円以下の世帯について所得に応じて軽減し、大学入学者を増加させるための所要額 約 2,200 億円

成長戦略

【大学・大学院】
社会ニーズを大学教育に反映させ、社会の評価の向上、学生の学修意欲向上という好循環を実現するため、
●すべての大学がそれぞれの大学教育の目標を明確に設定し、社会に対して公表することにより、出口管理を徹底し、かつ、その達成度に応じたメリハリある予算配分を実現
●アクティブ・ラーニングやPBL(課題解決型学習)などの導入による大学授業の刷新を進める大学に重点的な財政支援
●優秀な学生が、短期間で深い学識・卓越した能力を修得できるよう、学士・修士の5年一貫教育プログラムの導入を促進

専門職大学院
日本経済の成長・生産性向上のため、
●我が国において、欧米の世界トップクラスの専門職大学院に匹敵する「スーパーグローバル専門職大学院」(仮称)を創出し、世界MBAランキング 100 位以内に日本の専門職大学院が5校以上入ることをめざす
●各専門職大学院は、成長が見込まれる分野の経営人材などの育成を強化する。また、国際的な評価機関からの評価を積極的に受け、世界基準の教育プログラムの構築をめざす

現政権による政策を含め、全体的な流れを一言でいうなら

「できる子にもっと伸びてもらう」

ことにあるような、そんな内容が多く見られますね。

公立校の役割が少し変質しているような、そんな気さえしてしまいます。

私学はどうあるべきか、ますます難しい時代になっていきそうです。

 

もう1点、上記提言の中には「チーム学校」という考え方が含まれています。

具体的施策として挙げられているのは

・教師の「国家免許」化

スクールカウンセラー等の制度的位置づけと全校配置

・「学校応援団」(コミュニティ・スクール、学校支援地域本部)の機能強化

・人事・予算等の校長の裁量権強化

・主幹教諭の全校配置

といったところですが、私はこれら以上に、「学校そのものの組織化」が重要であると思います。

 

外部との連携の前に、自分たちが組織として一枚岩になれるかどうか。

校長の裁量権を発揮する以前に、学校全体の意思決定が適切なものであるかどうか。

学校が果たすべき目的に対して、全員が協働して働きかけられるかが学校にとってとても大切な要素であるように思うのです。

各校が単なる集団でなく「組織」として活動できる風土づくりにも相当程度の意識を向けてみてはいかがでしょうか。