寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校法人の寄附行為の認可及び寄附行為変更の認可申請書類の作成等に関する手引きについて

少しうっかりしていたのですが、まずはお礼から。

このブログ、先月末で10万PVを突破しました。

最初にカウンタを付けたのが2012年12月18日でしたので、丸1年半での10万超えということになります。

もともと私学経営の関係者様に…との想いから始めたものですので、万人相手のブログに比べると見ていただける方はかなり少ないだろうと思っていたのですが、私の想像を超えるたくさんの方にアクセスをいただき、本当に嬉しく思います。

カウンタはそれほど気にしていないつもりではありますが、それでも1伸びることが自らのモチベーションになっているのは事実です。

引き続きご愛読賜れれば有難く思っています。

また、内容についてご意見やご感想があればぜひお寄せください。

私学経営がよりよいものになるようにとの願いを託し、今後も力を尽くしてまいります。


さて本題が遅れてしまいました。

今日は文科省からの情報提供です。

学校法人の寄附行為の認可及び寄附行為変更の認可申請書類の作成等に関する手引き(平成26年度改訂版)について


学校法人経営において一番の基礎となるのが「寄附行為」です。

一般企業等における「定款」、あるいは組織体における「憲法」と言えば通りがいいでしょうか。

寄附行為、という言葉自体の認知度はそれほど高くないかもしれませんが、学校の根幹を定める基本規程であることは間違いありません。

今回、この寄附行為の認可手続きに関する手引きが改められたとの情報です。


では、なぜ改められる必要があったのか。

それは、ここのところ責任ある私学経営とは程遠い事例が散見されることにあるようです。


今回の手引きの「はじめに」の中に、平成24年10月25日付大学設置・学校法人審議会長からのコメントが掲載されています。以下、一部抜粋引用します。

学校法人は、高い公共性を有する学校の運営を継続的かつ安定的に行う責務を負っていることは言うまでもない。また、現行の学校法人制度においては、それぞれの学校法人が建学の精神に基づき多様な教育を提供できるよう自主性、自律性が尊重されている。

しかしながら、学校法人堀越学園においては、経営上も管理運営上も数多くの問題を抱え、危機的な状況にまで陥っている中で、文部科学省から再三にわたり改善を求める指導を受けてきたにもかかわらず、改善に向けた責任ある真摯な対応が見られないなど異常な状況が続いている。このことは、いかに自主性、自律性が尊重されているとはいえ、高い公共性が求められている学校法人としてあるまじき姿であり、解散を命ずることによってしか問題の解決が図れないという事態に立ち至ったことは、極めて遺憾である。当然のことながら、このような事態を招いた学校法人堀越学園の責任は厳しく問わざるを得ない。

名指しでの指摘はそうあることではないと思いますが、ここで採り上げられている事例は私学経営への信頼を失わせるには十分すぎる事例であったと私は感じています。

今後の私学経営には幾多の困難が予想され、それをいかに乗り切っていくかということについては、「運営」ではなく「経営」に対する強い意識が必要ではないでしょうか。


ちなみに先ほど引用させていただいた「はじめに」には歴代の大学設置・学校法人審議会長からのコメントもいくつか掲載されています。こちらからも少しだけ引用しておきます。

規制緩和の流れの中、大学新設の抑制方針の撤廃、審査基準の準則化、認可事項の縮減など「事前規制から事後チェックへの転換」の考え方に基づき、設置審査が行われてきているが、その前提となる大学自身の自覚と責任の徹底という点において、懸念せざるを得ない案件が少なくないことは、大いに危惧されるところである。本年1月には文部科学大臣が、株式会社が設置するある大学に対して学校教育法に基づく勧告を行う事態にも至っている。各申請者はじめ大学の設置・運営に関わる全ての方に対して、あらためて大学を設置する責任の重みを十分に自覚いただくよう強くお願いしたい。各申請者においては、当該専門分野の教員をコアとして構成・計画を練り、十分な準備を経た上で申請するよう重ねてお願いしたい。また、積極的に教育情報・財務情報を公開し社会に対する説明責任を果たすよう期待したい。(平成19年11月27日付)


我が国の私立大学は、過去十数年の間、著しい環境の変化に晒されてきた。18歳人口が4割減少し、地方を中心に定員割れに苦しむ大学も少なくない。バブル経済の崩壊は、出口(就職)を意識した教育内容の不断の見直しを不可避とした。さらに、大学設置基準の大綱化以降の規制緩和の流れは、私立大学の多様化に大きく道を開いた。

かかる環境変化に直面し、各大学が、経営の安定性に意を払いつつ、建学の精神の下、様々な工夫を凝らし改革を進めていることは、高く評価したい。しかし、他方で、私立大学制度の前提である「自主性」「自律性」を損ないかねない事態が審査の過程等で明らかになりつつあることを指摘しなければならない。

第一に、継続的な運営のための「安定性」の問題である。私立大学は、在学生のみならず、卒業生に対しても母校として存続、発展する責務がある。「安定性」は学校経営の最も基本的な命題であり、学校法人制度もそうした前提で設計されている。にもかかわらず、近年、新設早々に学生確保に苦しむ経営見通しの甘い大学の例や、校舎の全部借用の結果、借料が経営を大きく圧迫する株式会社立大学の例が多く見られるようになった。

第二に、社会からの「信頼性」の問題である。教育基本法で規定される通り、学校とは「公の性質」を有するものであり、その設置者たる学校法人には高い「公共性」が求められる。しかし、昨今、認可申請書の不実記載や重大な記載漏れなどの不正申請、理事長によるセク・ハラ事件、さらに文部科学大臣勧告を受けた株式会社立大学の例など、一部とはいえ私立大学に対する社会の信頼を失いかねない事案が続いており、極めて遺憾である。社会からの信頼性の前提である情報公開も遅れている。

第三に、私立大学の「自主性」「自律性」そのものの問題である。規制緩和の進展は、申請者側に、より高い「自主性」「自律性」が求められるものであるが、現実には、設置認可に際し、準備不足からか多数の留意事項が付されたり、「数値基準さえクリアすれば」といった低い意識の申請者が増加するなど、規制緩和の弊害が目立ち始めている。学校法人のガバナンス機能を高めるための平成16年の私立学校法改正の趣旨についても、改めて徹底する必要がある。 (平成20年2月27日付)

個人的には、特に最後にご紹介したコメントの内容が重く響きます。

先を見通しながら経営を行う。

この基本的なことがまだまだ十分ではないと感じられる学校業界で、私もできる限りのお手伝いができればと思っています。


(文責:吉田俊也)


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