年度末が近付くにつれ、学校法人さんは多忙さを増していかれます。
そのこともあって、毎年この時期になると、それまでのように気軽に学校法人さんを訪問することができなくなる私。激務に頭が下がる思いです。
そんな中、入試の合間を縫ってお会いいただいたある学校法人の事務長さんとの面談で、
「中途採用の功罪」
に話が及びました。
事務長がおっしゃるには、
「民間企業で持ちこたえられなかった人材が、学校で力を発揮するとは思えない」
とのこと。
学校は職場としてやや特殊な風土を持つことが多く、
その働き方の基本線は
「まずは同僚を受け入れる」
ことにある、と。
自分の考えややり方を押し通すのではなく、その学校のやり方を学び、
できれば雑用も含めてしっかりと経験を積んだのちに、自らの色を出していくべきではないか、と。
民間企業出身の中途採用者はどうしてもそのあたりの意識が薄くなりがちで、
採用してもうまく機能してくれないことが多い、と嘆いておられました。
私学における教職員採用は、中途採用が多数派であろうと感じます。
中途採用には新卒にはないメリットもたくさんある一方で、
やはりデメリットも少なからず存在します。
これは私自身も採用や社員教育といった業務を経験して、強く感じているところです。
中途採用のメリットとデメリットについて考えてみると…
(こんなサイトがあったので参考にしてみました↓
http://メリットデメリット.com/finance/chuto.html)
メリットとしては、
・即戦力として、実務的に期待できる
・社会経験が既にあるため、教育コストが抑えられる
・柔軟な発想や新しい考え方を職場に持ち込める
・新卒採用よりも失敗の可能性は低い
といったところがよく理由に挙げられるところでしょう。
ただ逆に、デメリットとして
・以前の職歴の影響が残っていて、職場に合わない可能性がある
・期待通りの成績を残せるとは限らない
・またすぐに転職して他社へ行ってしまう可能性がある
・社の方針ではなく、自分のやり方に固執してしまう人もいる
といったことも十分考えられます。
先ほどの事務長さんはこのデメリットを強く感じておられるのでしょう。
これは業界問わず、中途採用の経験がある職場なら一度は感じたことがあるものだと思います。
では結局新卒採用がいいのか、と言われるとそうも言い切れません。
新卒を育てるということがなかなかうまくいかない、という職場も数多くあるからです。
ある程度社会人教育を受けていることを前提に、現場の実務だけを教育し、
その職場で通用する人材にするのが向いている、という職場は確かにあります。
どちらの採用形態にしても、重要なのは
「職場内で人を育てる」
という意識ではないでしょうか。
現在の私学では、自分の役割をこなすのに精いっぱいで、
同僚や部下を育てることへの意識と行動が十分ではない、というケースをよく耳にします。
が、教学であれ事務であれ、その組織を支える人財が学校にとっては何より重要な経営資源。
その人財を育成する方法と意欲を持たなければ、組織の維持発展はありえません。
OJTであっても、Off-JTであってもよいと思います。
後輩を育てる力こそが、組織を育て、成長させる力になると思うのですがいかがでしょうか。
学校は本来人を育てる場、です。
これは生徒のみならず、社会人を育てるという意味においても、力が発揮されれば…と願っています。
(文責:吉田)