寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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大阪市教委:「公設民営学校」政府に提案へ…17年度から

昨日の朝日新聞朝刊で少し気になった記事を採り上げます。

朝日新聞のWEBでは見つからなかったので、毎日新聞の記事にリンクを貼っておきます。


大阪市教委:「公設民営学校」政府に提案へ…17年度から


公設民営学校…そのようなスキームが急に降ってわいたのかと思いきや、実は、官邸に設置されている「国家戦略特区ワーキンググループ」において、今年の5月、この方法論が文科省へのヒアリング事項として採り上げられていたようです。資料がこちらに挙がっております→「公立学校運営の民間への開放」(公設民営学校の解禁)


公設民営学校というのは、その名の通り、「公が設置し、民間が運営する学校」を指しているのでしょう。

このブログでも何度も書かせていただいている通り、学校においては施設の維持・更新にかかる費用が非常に大きいため、そのことが経営を圧迫しがちです。

そのこともあって、施設の骨格には税金を投入して、あとは民間のノウハウで運営するという、ある種の「いいトコ取り」を狙っているのが公設民営の考え方の基本と言えます。

そして、大阪市が検討している公設民営学校のメリットが「私立と異なり、授業料が安いなど」(毎日新聞記事より引用)と書かれていますが、施設の整備を公に担当してもらえるならその分授業料が抑えられるのは当然の帰結かもしれません。


ちなみに大阪市教委では、

○理数系や英語に特化した中高一貫校(18年度開校)

○世界で通用する入学資格を与えられる「国際バカロレア」認定の中高一貫校や学科(17年度開校)

○民間のノウハウを生かした小中学校(17年度開校)

といった公設民営学校を想定しているようです。


先ほど引用した資料「公立学校運営の民間への開放」(公設民営学校の解禁)を見る限りではありますが、すでに認められているスキームとして「公私協力学校」なるものが存在することもあり、これ以外の公設民営学校の設置に関しては文科省は少し消極的?とも感じられます。

今後の議論の進み方に注目したいと思います。


公設民営という考え方を実務にあてはめたとき、「民間委託」「上下分離」「指定管理者制度」「第三セクター」などいろいろな方式が存在します。

私もある自治体の指定管理者を選ぶ審査に携わっていますが、その仕組みには良い点ももちろんある一方で、実務における弊害も少なからず存在する、というのが実感です。

特によく思うのは「責任の所在の不明確さ」。一定の基準は設けられていても、実務上の細かいことについてはもちろんその都度の協議になるというのが通例で、この現象自体はゼロにはできない仕組みなのだろうと感じます。

よくよく議論を深めていただき、よりよい教育環境の実現とともに、現存の私学や公立校との競争条件があまりに違いすぎる、なんてことのないようにしていただきたいと願っております。


(文責:吉田)

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