寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

都立高印象「肯定的」が増

東京都の話題になりますが、

他地域でも同様の現象が起きている可能性もあります。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

東京都教育委員会は、都民や都内の企業、生徒らを対象として2021年度に実施した都立高校に関するイメージ調査の結果を発表した。「良い」「どちらかというと良い」と肯定的な印象を持つ都内企業の割合は53%で、11年度調査から13ポイント上昇した。都立高に期待する役割では基礎学力や規範意識の向上を挙げる意見が多かった。

 

この調査は5年ごとに実施されているもので、

2021年度については都民3000人、都内の企業460社、

都内の大学・短大170校などを対象に、

インターネットで回答を集めておられます。

 

今回の調査結果からは、良好なイメージを持つ割合の「絶対値」以上に、

「上昇幅」の大きさを感じます。

肯定的な回答の割合を回答者の属性別に見ますと、

大学などの学校関係者が58%、都民が50%で、

なんとそれぞれ20ポイント、13ポイント上昇したとのこと。

都教委は都立高校改革推進計画などを進めたことで

「取り組みが総合的に寄与したのでは」とコメントされています。

 

ちなみに、今回ご紹介した上記記事は短い記事でしたが、

原典にもご興味をお持ちになった方もいらっしゃるかと思います。

私自身もそうでしたので、以下、原典のリンクを張っておきます。

 

www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp

 

他の地域の私学関係者も気になるところかと思いますので、

中学生の志望理由についてのページを引用しておきます。

 

f:id:ysconsult:20220416141732p:plain

志望理由を聞いたところ、中学生自身の回答結果は以下の通り。

【都立高校(全日制)】
学習指導が充実しているから 33.8%
自分の学力に合っているから 28.6%
学校行事なども充実しているから 26.5%
自宅から近いから 25.4%
男女共学だから 19.7%

【私立高校(全日制)】
施設・設備が充実しているから 36.1%
大学の附属高校だから 33.5%
学習指導が充実しているから 32.3%
部活動が盛んだから 28.0%
学校行事なども充実しているから 20.1%

 

同じく志望理由について、保護者の回答結果は以下の通りです。

【都立高校(全日制)】
本人の学力に合っているから 36.5%
学習指導が充実しているから 31.1%
自宅から近いから 30.0%
経済的な負担が少ないから 28.8%
大学等の進学に実績があるから 25.4%

【私立高校(全日制)】
大学の附属高校だから 40.4%
学習指導が充実しているから 33.8%
施設・設備が充実しているから 26.2%
部活動が盛んだから 21.8%
本人の学力に合っているから 19.2%

 

公私の比較としてみた場合、

公立校の特徴は立地(自宅からの近さ)に、

私立校の特徴は進学と施設設備にあるような印象を抱きます。

さて、貴校園はどのような魅力づくりを優先的に進めていきますか?


(文責:吉田)

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生産年齢人口、最低59%

大型連休も最終盤。

今日から職場復帰、という方も世間的には多そうです。

私学関係の皆様におかれましては、

少しはリフレッシュできましたでしょうか。

 

さて本日は人口推移について改めて確認しておきましょう。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

総務省が(4月)15日に公表した2021年10月1日時点の人口推計で、労働の中心的な担い手となる15~64歳の生産年齢人口の割合は総人口の59.4%となった。統計を取り始めた1950年以来、最低だった。新型コロナウイルスの水際対策の影響で、外国人の入国者数から出国者数を引く社会増減は9年ぶりに減少に転じた。労働力人口を女性や高齢者の労働参加で補う構図にも限界が見えつつあり、経済成長の下振れリスクになる。

 

私学に関わる皆様が、人口について最も興味を持っておられるのは

年少人口かと思いますが、今回の記事は

生産年齢人口に焦点が当てられております。

 

その生産年齢人口が総人口の中に占める割合が6割を切り、

過去最低になった、とのこと。

前年と比較しますと584千人の大幅減となった理由の一つは

「コロナ鎖国」による外国人労働者流入減だ、

と記事は伝えています。

下のグラフを見ても、それが事実の一つであることは間違いなさそうです。

 

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総務省労働力調査によると、人口減少局面にもかかわらず、この10年で労働力人口は5%増えた。女性や高齢者の働き手が増えたことが大きい。ただ足元では伸び悩んでおり、20年は前年比0.1%減で、21年も同0.1%増にとどまった。

 

学校現場においても、すでに労働力不足は深刻であると感じます。

この記事は外国人労働力への言及が多いのですが、

学校の場合はそれに頼る場面がどうしても限られますので、

生産年齢人口の減少はより急速に進んでいるとみておくことが

必要かもしれませんね。

 

ちなみに、少子化と高齢化もさらに進んでいて、

首都圏でも人口が減少局面に入ってきています。

下のグラフで地域別の状況をつかんでおきましょう。

 

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さて学校現場での労働力確保、教職員の確保について、

今後を見据えてどう考えておけばいいでしょうか。

記事にはこんなことが書かれています。

 

女性や高齢者についても育児や介護などと両立できるような柔軟な働き方をさらに広めていく必要がある。全体の人口が減る中で一定の成長を維持するには、IT(情報技術)やロボットなどの設備投資を進めるとともに生産性を向上させる取り組みもかかせない。

 

幅広く労働力を確保すること。

そのために、働き方を柔軟にしていくこと。

これまでも言われてきていることではありますが、

改めて貴校園のしくみを整える方向性を検討しておきたいですね。

 

(文責:吉田)

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5月開催セミナーのお知らせ

今日からGWも後半、ということになるのでしょうか。

今年は曜日の並び方に恵まれていて、今週1週間は完全にお休み、

という事業所もそれなりにあるようです。

学校現場はなかなかそうはいかないかもしれませんが、

それでも少しは心身の休息に時間を使っていただく機会になれば、

と願っております。

 

さて本日のブログでは、来週金曜日開催予定の学校経営セミナーについて

お知らせいたします。

 

今回は【学校法人会計・初学者向けセミナー】。

会計のご担当者以外、例えば理事・監事・評議員の皆様はもちろんのこと、

会計担当以外の事務職員の皆様にもご参加いただける内容です。

私学に関わり、私学で働く皆様に、最低限知っておきたい会計のルールを

わかりやすくお伝えできればと思っておりますので、

お時間が許せばぜひともご参加ください。

 

セミナー開催概要】

タイトル:学校法人会計・基礎編 ~学校会計のしくみを知ろう~

日 時:2022年5月13日(金) 13:30~16:00(開場13:00)

会 場:オンライン(Zoom)

講 師:吉田 俊也(株式会社ワイズコンサルティング代表/

      学校経営ディレクター/中小企業診断士・税理士)

内 容:・学校法人の決算書の種類と表していることがら

    ・学校法人会計の基礎的なルール

    ・実際の決算書を見て内容を読み解いてみよう

 

▼弊社HP内の上記セミナー案内ページ

www.ysmc.co.jp

 

セミナーはZoomで開催いたしますので、移動時間も必要ございません。

貴法人、貴校園の決算書を読む、あるいは会計のしくみを知る、

という観点での、あくまでも初心者、初学者向けの内容となります。

(ベテランさんには11月開催予定の「応用編」をお勧めいたします)

 

なお、お申込みは先着順とさせていただきますので、

早目のお申込みをお願いいたします。

 

それでは今月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:吉田)

 

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人的資本経営に資する人事部に

人材という経営資源に着眼する大切さを感じます。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

この記事の筆者・佐々木聡さんはパーソル総合研究所の上席主任研究員で、

まさに人事のプロと言える方であろう、と捉えました。

佐々木さん曰く、以前の人事部は会社の中枢のエリート集団であったが、

昨今は弱体化し、採用や配置、育成等の機能が現場に移行しつつある、

と指摘したうえで、以下のように述べておられます。

 

昨今では「戦略人事」という概念が注目されている。人事部が経営への関与を高めたり、事業部門との連携を強めたりして、自社の持続的な成長を支えるのである。パーソル総合研究所が2021年に実施した「人事部大研究」調査によれば、戦略人事が実現できている企業は人事部の企業成長への貢献度が高く、売上高や利益率の成長率も高い。

 

戦略人事が実現できている、というのは具体的にどういう状態なのか。

このことについて、経営者・人事部に問うた結果が載っており、

回答が多かった順に並べたのが以下の6項目です。

①次世代人材の発掘・育成

②事業部の人的資源の調整・配分

③経営戦略に基づいた人事戦略の策定

④緊密な社内連携

⑤従業員の支援

⑥人事ポリシーの明確化

 

さて、私学において人事部をお持ちの法人はどのくらいあるでしょうか。

人事委員会という機関をお持ちの法人はあると思いますが、

上記6項目が実現できているケースは稀ではないでしょうか。

学校において教職員は屋台骨の存在ですから、

経営資源の確保や活用の意味からして、

人事施策は相当程度重視する必要があるのですが…

 

そしてこの記事には、少々唐突ながら以下のようなことも書かれています。

人的資本経営は海外で先行し、日本でも政府が今夏に人的資本の開示指針をつくる方針。モノやカネといった有形資産にとどまらず、ヒトという無形資産にどれだけの投資をしているのか。開示に前向きな企業に資金が集まる仕組みをつくり、企業競争力の底上げにつなげる狙いだ。

 

人件費は「費用」という意味合いよりも「投資」という意味合いが

強い支出だと、私は考えています。

その意味で、ヒトという無形資産にどれだけの投資をしているのか、

という上記の指摘はとても大切だと感じます。

 

貴校園の人件費の中で、投資に当たるお金の使い方は見当たりますか。

それはどのくらいのボリュームでしょうか。

そのような観点で人件費を捉えてみることも大切なのではないでしょうか。

 

(文責:吉田)

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私大のガバナンス改革 自浄能力向上どこまで

当然予想されたことではありますが、

世間からの手厳しい見方のひとつだと思います。

日経新聞より。

 

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私立大学などのガバナンス(統治)改革を巡る議論に区切りがついた。文部科学省私立学校法改正案の通常国会提出に向け準備を急ぐ。実現すれば制度上、理事長や理事会に対するけん制機能は高まる。トップの暴走の抑止を含む統治の抜本的な改善につながるかどうかは見通せない。

 

今後予定されている私学法の改正、いわゆるガバナンス改革の内容ですが、

日経新聞が下の図にまとめてくれています。

大学法人を前提にしたものとなっておりますので、

中高法人は若干異なるところもあります。ご了承ください。

 

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今回まとめられた報告書の作成母体は、

文科省の大学設置・学校法人審議会に置かれた

「学校法人制度改革特別委員会」。

今年1月から計6回の議論を経て、先月29日に報告書をまとめる、

という早業でした。

 

報告書のポイントをおさらいしておきましょう。

 

【理事長・理事会に対する評議員会のけん制機能の強化】

  • 法令違反、職務義務違反などの客観的な解任理由があり、他の機関が機能しない場合、評議員会による理事の解任請求可
  • 評議員会による監事の選任
  • 解散や合併など重要な事項について、理事会の決定に加え評議員会の決議も必要
  • 理事と評議員の兼務禁止(→評議員会の最低数引下げ、属性ごとの上限設定)

【理事会の監督機能の発揮】

  • 理事会に理事長の選定・解職権限があることを法律で明記
  • 内部統制システムの整備義務付け
  • 特別背任等の刑事罰新設

 

いかがでしょうか。

昨年12月に「学校法人ガバナンス改革会議」がまとめた内容では、

評議員会を「最高監督・議決機関」に格上げし、

理事の選任・解任権も与えるという内容だったのですが…

 

提言が実現しても理事会が法人運営の中心となる意思決定機関、評議員会が諮問機関という「基本構造は変わらない」(文科省)。評議員会への一部議決権の付与や理事・評議員の兼務禁止などは過去の改革論議の中で方向性は出ていた。改革会議の大胆な案は私学側が受け入れ可能な線まで押し戻された格好だ。

(中略)

取材の中で私大の教職員から改革会議案への賛意を聞くことは決してまれではない。理事長や特定の理事の影響力が大きく、議論が萎縮する勤務校の実態への嘆きも耳にする。理事会と評議員会を同時開催する法人もあるという。監督機能の形骸化は、おそらく日大以外でも起きている。

 

貴校園の理事会、評議員会は現状、きちんと機能しているでしょうか。

私学経営は今や難度の高いものとなっています。

将来の方向を定め、必要な施策を検討し、確実に実行する。

その責任はまさに経営陣にあります。

私学という公共性の高い機関において、

健全経営は必須の命題であることを改めて肝に銘じたいですね。

 

最後に、今回の記事の末尾に掲げられていた文章を引用します。

私学団体が主張するように、私大は学部生の8割弱を受け入れ、社会人の再教育も含め様々な人材を育てている。その役割の重さにふさわしい健全な経営を行う責任がある。続発する不祥事と紛糾した統治改革論議を通じ、いま社会は私大経営に厳しい目を向けている。自覚してほしい。

 

(文責:吉田)

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日立、週休3日で給与維持 生産性向上へ働き方改革

以前もこのブログで採り上げた、週休3日制の話題。

採用する企業がまた増えるようです。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

日立製作所は給与を減らさずに週休3日にできる新しい勤務制度を導入する。働き方を柔軟に選択できるようにして多様な人材を取り込み、従業員の意欲などを高めて生産性を引き上げる。パナソニックホールディングス(HD)やNECも週休3日を検討する。成果さえ上がれば働く日数や時間にこだわらない経営が日本で広がる可能性がある。

 

日立が本年度中に採用する予定としている制度は、

月間の所定労働時間を勤務日ごとに柔軟に割り振ることができるもので、

これまでは1日3.75時間としていた勤務時間の下限をなくすそうです。

このことにより、例えば月~木曜日の労働時間を9~10時間とすれば

金曜日を休みにして週休3日、ということが可能だそうです。

月前半の労働時間を長くして月末に大型連休をとることもできる、

とのこと。

 

ちなみに、週休3日制を選べる企業として

下の表が記事に付いていました。

 

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学校現場で働く皆様からすれば羨ましい限り、

ということになるかもしれませんが、

次のような記述があり、ハッとしました。

 

IT(情報技術)関連の仕事が増えるなど産業のサービス化や知識集約化が進み、労働時間と成果は必ずしも比例しなくなっている。時間の使い方について従業員に幅広い裁量を認め、成果で評価するような仕組みの整備が企業に求められている。週休3日も成果重視型の働き方の一つだ。

(太字は筆者による加工です)

 

私学で留意すべきは以下の2点ではないでしょうか。

 

まずは「時間管理」ではなく、「成果管理」という考え方が

広がってくる可能性があるという点です。

現在はまだ中高(教学)での評価制度は決して実例が多いわけではない、

と思いますが、成果を管理する、という観点が広がれば、

当然それに見合った処遇を求める、

という働き手のニーズが出てくるだろうと思います。

(すでに出てきているかもしれませんね)

学校現場での評価制度導入もそれほど遠い未来ではないのかもしれません。

 

もうひとつは、このような企業の出現と増加によって、

新卒者を始め、市場に存在する流動人材の志向が

より柔軟性の高い働き方へと寄っていく可能性があるという点です。

現時点においても教職員採用に苦労が多い学校業界ですが、

今後、民間企業で働き方がより柔軟になってくれば、

ますます人材がそちらに流れてしまうかもしれません。

学校では本当に柔軟性の高い働き方が不可能なのか、

今一度しっかり考えてみる必要があるように思います。

 

(文責:吉田)

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理学部進学女性、地域で割合に差

何がその差を生んでいるのか、注意して統計を見る必要がありそうです。

日経新聞より。

 

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内閣府は7日、2021年度の高校生による進路選択の調査を発表した。理工系の大学に入学した女子高校生の割合は地域差があった。大学の理学部に進んだ高校生のうち女性の割合を都道府県別にみると最も高いのは岡山県の39.6%で、最も低いのは青森県の15.8%だった。

 

岡山と青森を比べると実に倍以上の差があるわけですね。

同じ記事の中に、工学部の進学者についても同じような記述があり、

そちらは最高が山形県の20.2%、最低が福井県の11.2%と、

こちらも倍ほどの差があります。

ただ工学部については最高でも2割ですから、

そもそもの進路選択において女性が工学部を選びにくいバイアスが

あるのではないか、という点について考えてみる必要があります。

 

ちなみに内閣府は、

理工学部の女性志望者は科学館や大学のイベントなどの経験が多い」

と分析しています。

これはその学問に触れる機会が多い、

というふうに考えていいのでしょうか。

そうだとすると、地域ごとの際の原因もまた、

そのような機会の差にあるのでしょうか。

 

学校、特に中学高校においては、進路や進学先について

学校教員が情報を提供したり、見解を述べたりする機会が

一定程度あるものと考えられます。

理学部や工学部を女性の進学先としてフラットに認知することこそ、

格差をなくす第一歩であり本丸であるような気もするのですが

いかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

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