寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

中小企業とSDGs

理念に共感を覚えるSDGsのことは、このブログでも時折採り上げています。

しかし、何からすればいいのか、というのが

このSDGsの最大の疑問かもしれません。

そのヒントがあれば、と願いつつ、

日経新聞よりひとつの記事をご紹介します。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください) 

 

持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みは、中小企業にとってやっかいだ。「進めた方が良い」と思っていても「何から着手すればよいのか分からない」という経営者は多い。SDGsはあくまで自主的な取り組みだ。認証制度はなく、法律による強制もない。そのため「取り組む必要はないのでは」という声も聞こえてくる。

 

 

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上の表、なかなか面白いですよね。

記事に掲載されていた、埼玉の中小企業での取組例です。

 

全員にSDGsに関わる行動計画を書いてもらい、ひとつひとつの行動が17あるSDGsの目標のどれに当てはまるのかを分類。それを年度ごとにポイントに換算し、次年度のポイント目標を立てる。内容は「食品ロスを出さない」「車をなるべく使わない」「ごみの分別を行う」など身近なことが多い。

 

この取組、目標を達成しても褒美があるわけではないそうです。

が、同社社長は

「我々が考えている以上に若い人の関心は高い」

とおっしゃっています。

やはり、未来に対する心配を我が事にしやすいのは若者、

ということなのかもしれません。

 

 

そしてこの記事の最後に、ひとつ気になることが書かれていました。

今では大学や高校ばかりでなく小学校でもSDGsを教えている。取り組んでいない企業が「遅れた企業」とレッテルを貼られるのも時間の問題だ。

 

SDGsは学校でも教えられている、というくだりがあります。

貴校園でもSDGsは教育テーマの一つになっているでしょうか。

私の知る限り、その取り組みにはかなりの温度差があります。

 

そして、教育内容としてはもちろんのこと、

学校経営でSDGsに関して検討されている例は

なおのこと少ないようにも思います。

経営の着眼点としても有用なSDGsについて、

まずは知るところから始めてもいいのかもしれません。

 

未来の社会や地球を考えるというのはまさに答えのない問い、

これからの教育テーマとして最適とも言えるでしょう。

SDGsが当たり前のように話題に上る学校が増えることを期待したいですね。

 

(文責:吉田)

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経営としての東大モデル

なんといっても注目度の高い東京大学

今回は「経営」を考えるテーマでの登場です。

最近の東大はこんな動きもあるのですね。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

「国立大学が債券発行に道を開こうとしている」

 

記事はこの一文で始まっています。

私学には学校債と言われる債券発行が認められていますが、

国立大学が債券発行することができるケースは、

一定の収入が見込まれる施設の用に供される土地の取得等に限定されています。

これを広げて、独自財源を確保しようとする動きがあるとのこと。

確かに、この3月にこんなニュースもありました。

r.nikkei.com

 

これを主導したのが東京大学

東大は、大学を「運営から経営へ」転換させようとしている。幾度かにわたる国の成長戦略では大学が枢要な位置づけを与えられ、各大学が必死に取り組んでいる。なかでも東大の成果が目立つ。

 

記事には上記以外にも具体例が掲載されています。

まず「事業」面。

・高度で高速のデータインフラを構築して地域単位で全国規模の連携を進める

ノーベル賞級の研究や、様々な業種の多くの民間企業との協業に取り組み、

 技術革新のためのエコシステムをつくる

 

そして「ガバナンス」面。

・トップマネジメントを強化し、メリハリある予算配分を実現

・理事員数の弾力化や国からの運営費交付金の効率的配分にも前向き

・大学の実績評価も簡素化しようとしている

 

教育機関として、遮二無二変えていくことが是、というわけではないでしょう。

ただ、将来を見据えていろいろと動いているという点は

各私学でも見習うべきところがあるのではないでしょうか。

記事にもそのような点への言及があります。

 

一方で大学人の間には根強い反発もある。自分たちは研究と教育が本務で、学内行政や会社人のような生業は王道ではない、という。一理はある。

悩ましいのは、こうした伝統的な感覚を墨守したままで、大学は生き残れるか、グローバル競争に勝てるか、という点だ。また個人ベースでは研究成果を40代半ばまでに挙げられなければ、その先の見込みは薄い。ベテラン大学人が先を見据えた大学経営に注力しつつ、若手研究者の育成環境を整えるのが筋だろう。

 

 

休業期間の設定、その延長など、

学校現場は今回のウィルスで振り回されていることでしょう。

目の前の対応はもちろん重要ですが、だからといって、

将来に向けての構想や検討がなされなくていいわけではありません。

貴校園に合った将来の経営モデルを探し出し、

ぜひとも実現していただきたいと願っております。

 

(文責:吉田)

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新人とシニア、給与差縮む

なかなか面白い構成のこの記事。

新たな時代の社会人の悩みを時系列で記載しています。

日経新聞より。

 

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

年功序列型の見直しで、20歳代男性の平均年収は10年前に比べて4%前後増えた一方40歳代は10%弱減った。仮想の28歳男性会社員の生活シーンを通じ、令和の社会人が「どう働くか」を追う。

 

 

まずは出勤時。服装規定を廃止する企業の例を挙げつつ、

横並びを脱するというひとつのカタチを示しています。

学校では服装規定そのものがないことも多いかもしれませんし、

ジャージで授業をする先生も珍しくないかもしれません。

ある意味、企業よりも進んでいるのでしょうか(笑)。

 

そして業務開始時。テーマは「在宅勤務」です。

ここ最近はウィルス感染症のこともあり、

以前と比べると一気に進んできたような気がします。

ただ、学校現場では在宅勤務を進めるにはいろいろと障害がありそうです。

業務の一部だけでも在宅勤務を可能にするために、

ゼロベースで考えてみることも必要かもしれませんね。

 

 

昼休みには給料談議。

年齢給がベースであったこれまでの日本社会は、

人手不足と国際化によって常識が変わる可能性があります。

 

厚生労働省の賃金統計表をもとに分析すると、1000人以上の企業で働く40~44歳男性の18年の平均年収は726万円。08年(797万円)から71万円減った。一方で25~29歳は08年より17万円増えた。中高年の賃金を抑制し、若手に振り向ける企業が多い。女性の場合は管理職への登用拡大などでシニアでも年収が増えた年齢層がある。

 

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学校でも少しずつ年齢給を脱しようとする動きを感じます。

が、その動きはまだまだ緩やかです。今後、どう変化するのでしょうか。

 

そして終業。「アフター5こそ腕磨き」というタイトルが付いています。

飲酒習慣は若い層を中心に大きく減っている。ニッセイ基礎研究所によると、飲酒を「やめた」「ほとんど飲まない」を合わせた「飲まない」層は20歳代男性で51%、女性は62%。このうち「飲めるけど飲まない」人が男性で29%いた。

 

 

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飲みに行く暇があるなら勉強しなさい、

と言われているようで肩身が狭いのですが(苦笑)、

仕事終わりに飲みに行くのはすでに一般的ではないようです。

ただそうなると、組織で仕事をする時の一体感を醸成する機会は

別で作る必要があるのかもしれません。

強い組織は、「個の能力の高さ」以上に

「組織としての力」が必要となります。

学校はこれまで組織的な動きをあまり得意にしていませんでしたが、

さてこれからどのように変わっていくでしょうか。

仕事をめぐる環境は大きく変化しています。

学校現場は変化できるでしょうか。

不易と流行を区別して、時代の波にうまく乗って進んでいきたいものですね。

 

(文責:吉田) 

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歩合給算定で残業代を控除 「労基法の趣旨沿わず」

経営者にとって、給与制度の悩みは尽きないもの…かもしれませんね。

ですが、働く側にとっては貴重な労務の対価として保障されるべきものです。

法令を遵守することが最低限求められるところですので、

最新判例もしっかり押さえておきましょう。

日経新聞より。

 

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タクシー会社の国際自動車(東京)の運転手らが、歩合給の算定で残業代を差し引く賃金規則は無効だとして未払い賃金の支払いを求めた3件の訴訟の上告審判決が(3月)30日、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)であった。同小法廷は「(規則は)労働基準法の趣旨に沿うものとは言いがたい」との判断を示し、審理を東京高裁に差し戻した。

 

学校とタクシー業界はずいぶん違う、と思われる方もいらっしゃるでしょう。

ただ、時間管理の難しさというのは共通項ですよね。

 

今回の事案は、タクシー運転手の賃金を歩合給として、

その歩合給算定において深夜手当や休日手当といった残業代や交通費を

控除して算出していた、というものです。

つまり、残業代が増えるとこれに連動して歩合給が減ることとなり、

売上が同じならは残業時間が多くても賃金が変わらないというしくみだった、

と記事は報じています。

いかにも脱法的なしくみですよね。

ちなみに、この賃金規則は既に改められたそうです。

 

本件関連は3件が訴訟になっており、1件が最高裁まで争っているとのこと。

最高裁は賃金規則について「直ちに無効とは言えない」と述べる一方、「規則に基づく賃金が、労基法が定める残業代の支払いと言えるかどうかは問題になり得る」とし、東京高裁に審理を差し戻していた。

「直ちに無効とは言えない」という点に少し驚きますが、

いずれにせよ、残業代を実質的に支払っていない効果を持つこのしくみが

法令違反であるとの指摘はもっともであろうと思います。

 

 

さて私学では残業の管理の不十分さ、

そして残業代の不支給が問題視されるケースが

多くなっていることを耳にしています。

 

まずは労働時間をしっかり定義すること。

そして、労働時間中の勤務には賃金を発生させること。

この2点を原則として、なおかつ学校経営が永続できるような

しくみを整備する必要があります。

 

人件費に関する制度変更は簡単には進みませんが、

だからこそ、早めのスタートが肝心と言えるでしょう。

 

(文責:吉田)

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あるべき理想の姿

これまでにも何度か採り上げた日経新聞の連載、

「日本型雇用、改革の行方」。

非常に興味深い結論が示されていました。

 

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米英両国の経済パフォーマンスが高かった1990年代、経済協力開発機構OECD)は労働市場規制緩和を推奨しました。そこでは企業活力向上が労働者の厚生につながることが前提でした。しかし2000年代に入ると、デジタル変革や新興国の台頭で「勝者寡占化」や「生産拠点の海外移転」が進展し、米英両国では所得分配の二極化が強まり、社会や政治の分断が問題化しています。

この間、北欧やドイツなどの北部欧州諸国では、生産性や賃金が高めの伸びを示す一方で、所得分布の平等度も維持しています。これらの国では協調的な労使関係のもと、雇用・労働ルールを自主的な集団的労使交渉で決定しています。

 

両極端とも言える、2つのかたち。

近年は「強力なリーダー待望論」が世界的に広がっていて、

実際にそのような統治が進んでいる印象もあります。

労使間の関係も同様に、強力なリーダーシップで組織を引っ張っていく、

というような考え方が優勢であるようにも感じます。

 

しかし、この記事には興味深い分析結果が示されています。

OECDが2018年の報告書で示したものなのですが、

労使交渉の在り方として

(1)集権的か分権的か

(2)産業・部門間の調整度合いが強いか弱いか

で加盟国を分類し、それぞれの労働市場のパフォーマンスを比較したところ、

調整度の強いタイプが総じて優れたパフォーマンスを示していた、

というのです。

 

さて、貴校園の労使関係はいかがでしょうか。

難局を乗り切る際に、強力なリーダーシップが必要なことは確かにあります。

しかし、平時においても同様のものを求めるのは、

個人で事業をしているのとほとんど変わりないのではないでしょうか。

組織が持つ力を育み、それを活かすことで、

優秀な個人が1人で頑張るよりも、はるかに大きな力が発揮されることでしょう。

その際に必要なのが「調整」なのではないでしょうか。

 

今年に入ってから特に、弊社はこの「調整」業務を担うことが増えました。

やっていて感じるのは、本当に面倒で、厄介で、

そのうえ評価されにくい、ということです。

ですが、各法人が持つ力を活かすには、この面倒さも、厄介さも、

通らねばならないひとつの場所であるようにも思います。

 

教職員の力が活かされる組織を目指して、

今一度そのあり方を考えてみてはいかがでしょうか。

そして、調整ということの必要性についても、

同時に思いを致していただければ幸いです。

 

(文責:吉田) 

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学校で男女平等を考える機会を

なんと、中学3年生の寄稿文です。

先日ご紹介した大学生の投稿もそうですが、

若い感性が育つことの喜びを感じます。

日経新聞より。

 

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ドイツのインターナショナルスクールに通う筆者は最近、

男女平等について学んでいるそうです。

 

ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんが育ったパキスタンは、

世界経済フォーラムが2019年に発表した「ジェンダーギャップ指数」で

153カ国中151位。

では日本はどうかと言えば、同じ調査で121位。

そこには「性別によって押し付けられた固定概念」があるのではないか、

と筆者は考えたそうです。

 

そしてここからが本題。

以前は確かにそのような価値観があったとしても、

そのような価値観がいまだに残る理由は何なのか、

と疑問を抱きます。

 

なぜ新しい考えを持つ若い世代がいるのに状況が大きく改善されないのか疑問に思った。そこで友達に「日本で男女平等について学ぶ機会はあった?」と聞いてみた。するとみんな首を横に振る。ところが外国人の友達は、以前からよく「平等や差別」について考える機会があったという。

 

私学の中には探究的学習が進んでいる学校もあり、私自身、

男女平等について議論を深める授業を参観させていただいたこともあります。

ですが、このような取組が広くなされているわけではない、とも思います。

筆者の投稿のまとめに強く共感しました。

 

本の学校でも、もっと男女平等について議論すべきだと思う。平等であるべきだと言うが体力などの違いはあり、それぞれの性に合わせた方がよいことはあるだろう。体育の長距離走は男子が1500メートル、女子は1000メートルだ。どこまで平等にすべきか恐らく正解はないから議論して深めるしかない。今はしっかり考える時間もなく成人し社会に出る仕組みのように思う。結果として問題が先送りされてしまう。学校で真剣に考える機会があれば、将来はもっと平等な社会になるのではないか。

 

平等は単に同じであればいいわけではないですよね。

指摘されている通り、議論して深めていくしかないテーマだと思います。

 

さて貴校園では男女平等について考える機会があるでしょうか。

そして、今回の筆者のように疑問を抱く力、

さらにはそれを言葉にする力を養えているでしょうか。

 

(文責:吉田)

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5月になりました

今日から5月。

私たちの日常が非日常になってから、ずいぶん時間が流れた気がします。

 

ゴールデンウィークを迎え、例年であれば

学校がやきもきするのは5月病、かもしれません。

4月からの新入生、新学年がそろそろ落ち着きだした、

と思ったのもつかの間、大型連休を経ると

子どもたちの心が揺れ動いて、様々な事象が起こる…

 

しかしながら、今年はそれ以前に、

新年度の学校生活をほとんど経験せぬまま

5月を迎えているケースが大半だろうと思います。

そして、緊急事態宣言は延長されようとしています。

まだしばらく、学校と子供達を取り巻く環境は

日常を許してくれないのかもしれません。

 

さてこのブログではこのような状況下においても、

それほど記事の内容を変えずにお届けしております。

本来であれば緊急対策にあたる事柄を情報共有させていただくべき、

なのかもしれません。そうだとすれば、申し訳ございません。

 

ただ、この事態に対応するための情報は各機関から多く流れており、

特に私学経営ということを考えた場合には、

それらの情報は適宜皆様のお手元に届いているものと思われます。

そして、私自身を含め、covid19の情報そのものに疲れていたり、

できればそれ以外の情報に接したい、という想いをお持ちの方も

それなりにいらっしゃるのではないか、と思っております。

そのようなことから、弊社としましては、

このブログくらいは日常(の経営課題)に関する記事をお届けしようと、

あえてそのような内容をピックアップし、書かせていただいております。

この点、ご了承いただきまして、

今後もお付き合いを賜れますと幸いです。

 

もちろん、必要だと感じた情報は適宜掲載させていただきます。

現状、緊急対策としての施策が分かりやすくまとまっているサイトも

いくつかありますが、その中で特に分かりやすいものとして、

自民党のページを以下にリンクさせていただきます。

(なお、弊社は特定の政党に与しておりませんので、

 あくまでも情報提供としての有用性を重視しての

 リンクであることにつきご了承ください)

 

www.jimin.jp

 

さて、この5月はどんなひと月になるのでしょうか。

来るべき輝かしい未来に思いを馳せる、

そんな時期になることを願っております。

各自がご自身と大切な方々を守る行動を心がけつつ、

有意義なひと月を送ってまいりましょう。

どうかくれぐれもご自愛くださいますように。

 

(文責:吉田)

www.ysmc.co.jp