寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

在宅勤務 実をあげるには

ウィルスのことがあって、テレワークが推奨されていますね。

学校ではテレワークは他人事になってしまいがちなのですが、

それでも業務遂行における気付きはあります。

日経新聞の記事で、そんな気付きを得てみましょう。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

「仕事でわからないことがあっても聞きづらくて不安になる」。人材派遣会社で働く26歳の女性は、今回の新型コロナウイルス感染防止対策で初めて在宅勤務を利用した感想をこう話す。同僚や上司が近くにいればタイミングを見計らって直接確認できるが、そうもいかない。「電話するほどでもない細かなコミュニケーションが取りづらい。若手が勝手に判断してどこかでミスが起きないか」と心配する。

 

記事の冒頭、いきなり出てきたこの懸念に、

分かる分かる、とおっしゃる方はきっと少なくないでしょう。

「分からないこと、判断に迷うことを聞きづらい」

というのは、目の前に上司がいても発生しがちな、

仕事上のストレスのひとつではないでしょうか。

特に、「こんな些細なことを聞いてもいいんだろうか」と思う気持ちは、

おそらく誰しもに経験があるだろうと思います。

テレワークになるとなおさら、ということなのでしょうね。

 

 

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では、それを改善するためにはどんなことが必要なのでしょうか。

いつでも聞いてくれていいよ、と上司が伝えていても、

話しかけた時に嫌な顔をされたり、忙しそうにしていたりすると

どんどん聞きづらくなりますよね。

聞かれるのを待つだけでなく、上司の側から話しかける、

ということもそれを防ぐ一つの方法ではないでしょうか。

 

そして記事にはこんな記載も。

みずほ総合研究所の酒井才介主任エコノミストは「テレワークがうまく機能するには細かな業務内容をあらかじめ"棚卸し"しておくことが重要だ」と指摘する。日報の作成やデータ入力など、日々の業務のなかで生じる細かな作業をすべて「見える化」し、在宅でも実施可能かを判断する必要があるという。

「経営層がテレビ会議や端末などのハード面をいくら整えても、こうした具体策を現場に丸投げしては生産性向上に結びつかない」(酒井氏)。現状では大企業ほど導入比率が高く、いかに中小企業に浸透させるかも今後の課題だ。

 

まずは「業務棚卸」。これは本当に重要だと思います。

業務内容を見える化し、職場で共有しておけば、

トラブルがあったときの対応が格段にスムーズになります。

 

ハードを整えるだけでなく、具体策を考え、実行に移してみる。

これもまた大切な着眼点ですね。

いくら環境を整えても、使われなければ意味がありません。

 

学校はテレワークになじまない職場かもしれませんが、仮にそうだとしても、

在宅勤務が一切できない、という思い込みがあると

気付けないこともたくさんあると思います。

何ができるか、を考えて業務遂行にあたりたいですね。

 

(文責:吉田)

 

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ホワイトカラー 高卒採用広がる

高卒人材の就職内定率が上昇した、

というニュースを先週採り上げました。

事務系もかなり増えてきているようですね。

日経新聞より。

 

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高卒採用がホワイトカラーの職種に広がってきた。ワコールは2019年春に約20年ぶりに販売職で高卒社員が入社したのに続き、今春も9人が入る。静岡銀行は27年ぶりの高卒採用再開を決めた。人手不足が続くなか、大卒が担ってきた職種への採用が増えつつある。高校生の就職活動を制約している採用ルールにも見直し機運が出てきた。

 

ワコールでは2019年に高卒社員が2人入社し、

「大卒と比べ成長の度合いが大きい」との評価を受けた結果、

2020年は9人を採用。

給与も入社5年目で大卒新入社員より高くなるように設定されているそうです。

 

 

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この記事には各地の銀行の名前も並んでいます。

これまで高卒の就職先は「生産工程従事者」が39%と最多で、

大卒の最多は「専門的・技術的職業」でした。

しかし昨今の人手不足で、大学生の求人倍率が高くなる中、

「従来は大卒がしていた仕事を高卒にさせようとする企業の動きが広がっている」

そうです。

 

 

しかし、以前もこのブログで採り上げましたが、

高校生の就職活動には制約があります。

そのルールの見直しも進める必要がありそうですね。

 

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大学生と異なり、高校生の就活には独特の慣習がある。生徒は教師から提示された企業の中から1社を決めて選考を受ける「1人1社」制だ。経済団体と学校側、国の3者による申し合わせで1950年代から続いているルールだ。都道府県が学校に通知を出す形で運用している。

(中略)

文部科学省厚生労働省は2月10日、経済団体や学校関係者らでつくる検討会議の報告書をまとめ、こういった慣行は「必要な見直しを行っていくことなどが求められる」とした。2019年度内にも都道府県や関係団体に報告書を送る予定だ。今後、運用を見直す自治体が出てくる可能性がある。

 

ちなみに、大阪府では2022年春卒業の生徒から、

複数社に応募できるようにする方向で検討を始めています。

 

大学生はもちろんのことですが、高校生についても

就職活動が活発化する中で学業をどう修めるかについて

これまで以上に真剣に考えねばならなくなりそうです。

貴校園のキャリア教育、進路開拓の活動がより広く、

より深いものになっていくことを願っております。

 

(文責:吉田)

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賃下げ圧力、中高年に集中

以前も似た記事をご紹介しましたが、

統計的に興味深い資料が出ていましたので再び採り上げます。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

 

厚生労働省の賃金構造基本統計調査の分析結果として、

新卒で就職し、同じ企業で働き続ける大卒男性の月次の所定内給与について

2000年と2018年を比較したのが下の図です。

 

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白ポツと黒ポツの差が大きく、黒ポツのほうが下に来ているほど、

下落幅が大きいことを示しています。

具体的にはこんな状況のようです。

 

・55歳(中央値)…00年:622,500円→18年:536,400円(14%下落)

・55歳(下位10%目)…452,600円→356,000円(23%下落)

・上位10%目と下位10%目の賃金の差…394,700円→472,400円

・25歳(中央値)…228,600円→235,100円(3%上昇)

 

もう一つ気になる情報が「高齢化」です。

少子高齢化バブル崩壊後に採用数を絞った影響で、企業内では短期間のうちに人材の高齢化が進んだ。大卒の男女について一般労働者の年齢別割合をみると、40歳代以上の割合は00年の39%から18年は49%へ10ポイント上昇した。

10ポイントというのはかなり大きいですね。

ちなみに貴校園の平均年齢は上がってきていませんでしょうか。

上がってきている、という学校のお話をよく耳にしていますが…

 

この記事はこんなふうに締められています。

民間企業は脱・年功賃金が進んでいるようですね。

貴校園の未来の賃金設計についても考えてみていただければと思います。

 

社員の平均年齢の上昇などにより、企業は年功型賃金を維持できなくなりつつある。ただ、年齢に関係なく賃金を支払うには個人の能力や会社への貢献を正確に測る必要があり、客観的な評価が課題となる。現段階では成果が測りやすい40歳代以降で業績給の割合が高まり、賃金のバラツキ拡大につながっている。

 

(文責:吉田) 

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大学の不十分な情報公開 社会と分断、相互不信に

週の初めから少々重いテーマですがご容赦ください。

信頼のために自己開示が重要であることを再認識させられます。

日経新聞より。

 

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この記事を書かれた小林雅之桜美林大学教授は、

中央教育審議会の大学分科会や教学マネジメント特別委員会などで

大学の情報公開の議論に関わってきておられています。

そして、その中で「大学と社会の分断」を感じた、とおっしゃっています。

 

大学も社会もお互いに理解しあうための十分な情報を発信していない。それどころか、自分たちは十分情報を発信しているのに相手がそれを理解していないと感じる"すれ違い"さえ起きている。このままでは情報ギャップがさらに深刻になり、相互不信が高まるばかりだろう。

 

産業界は「今の大学は産業界のニーズに合った人材を育成していない」と批判し、

大学側は「産業界の求める人材像は抽象的でわかりにくい」と不満を述べる。

特に人文社会系の学生に対してその感が強い、

と小林教授は書いておられます。

 

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産業界にも大学側にも反省すべきことはあるのでしょうが、

今回の記事では大学側における改善の視点で、

いくつか提案がなされています。

その基軸は「情報公開を十分にせよ」ということのようです。

社会が大学に抱く不満は、一部を除いて情報公開に消極的な大学が多いことだ。それなのに多くの大学は、自分たちは既に十分な情報を公開していると思い込んでいる。これでは相互不信が高まって当然だ。事態は深刻である。

 

厳しい口調ですが、思い当たる点も確かにあります。

記事にもあるのですが、例えば大学ポートレート

個々の大学の情報が一覧できるのはいいのですが、

情報量が十分でないだけでなく、他大学との比較がとてもしづらく、

見る側のニーズには適っていない印象が強いです。

安易な比較は誤った理解につながる、ということなのでしょうが、

例えば納付金等についてはある程度比較できないと選べない、

という弊害もあるような気がします。

 

ただし、教育効果の情報公開には当然難しさもあります。

この点についても、記事に指摘があります。

 

一方で、特別委員会では学修成果の可視化は非常に困難で測定しがたいため、定量的な指標にはなじまないことも強調した。大学側には企業のKPI(キー・パフォーマンス・インジケーター)のような定量的な指標は、一元的な大学評価につながり危険だという考えが強いからだ。これまでも定量的な指標を設けた結果、表面的に数字のつじつまを合わせる"やったふり"が横行してきたという反省もある。

いくら情報公開が重要だといっても、できないことはできないと大学側は明確にすべきなのだ。かといって、できない理由を並べ立てるだけでは社会の理解は得られない。その塩梅(あんばい)が難しい。

公開を進めるには各大学の創意工夫が欠かせない。例えば、中退率の公表は風評被害を出すという大学の反対論が強い。しかし、同じ中退でも転学や就職など進路変更に伴うポジティブな中退もある。単位修得不足などネガティブな中退であっても、大学がポリシーとして厳格に成績を評価した結果ということもある。理由別にきちんと説明することが重要なのであり、それが説明責任を果たすということなのだ。

 

教育機関の中ではそれでもまだ大学が進んでいる方、といえるかもしれません。

教育機関が本当の意味で社会から信頼を得るためには、

一定水準の情報公開が欠かせない、と私も思います。

その形はまだ未確定ですが、私学においては、

自らその形を作っていくような取り組みを進めたいものです。

 

(文責:吉田) 

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高校生の就職内定率92%

今日は短めの情報提供です。

日経新聞より。

 

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今春卒業予定で就職を希望する高校生の昨年12月末時点の就職内定率は、前年同期比0.1ポイント増の92.0%で、10年連続で上昇したことが(2月)19日、文部科学省の調査で分かった。バブル期の1990年度(92.1%)に迫り、調査が始まった76年度以降の12月末では2番目に高かった。

 

ここ数年の就職内定率は高めに推移しているような気がします。

今回もその軌道に変化がないことが分かった…

つもりでいたのですが、実はこの高校生の内定率、

昨年10月末時点では10年ぶりに減少していました。

文科省の担当者によれば、出足は遅れるケースがあったものの、

結果的には人手不足が反映されたのでは、とのことです。

 

ちなみに、男女別にみますと、男子92.8%(前年同期比0.1ポイント増)、

女子90.7%(0.2ポイント増)となっています。

希望の進路開拓ができていれば、と願うばかりです。

 

(文責:吉田) 

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男性育休 小さな職場でも

育児休業は学校現場でどのくらい取得されているでしょうか。

それがしかも男性となると…

世間では、企業規模によって差があるようです。

日経新聞より。

 

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男性の育休取得率は会社の規模に大きく左右されるのが実情だ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2018年度の調査によると、従業員1001人以上で男性正社員の育休取得率が「0%」だった会社は47%だったが、101~300人では84%、31~100人の会社では91%にまで跳ね上がった。

 

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概ね学校法人でも同じことが言えるのかもしれませんね。

ひとつ重要な要素を挙げるとすれば、

代替要員の確保ができるかどうかが大きなカギを握っている、

ということ。

組織規模が大きくなれば、相対的に代替要員の確保がしやすくなる、

という事情はありそうな気がします。

 

そしてもうひとつ、こちらの方がより重要かもしれませんが、

「職場の雰囲気」がどうか、という点も考えないといけません。

今回の調査でも、育児などで男性が休暇や休業をとりやすい雰囲気があるか、

を聞いた質問で、31~100人以下の会社は「ある」「まあある」は

計63%にとどまりました。

 

 

この記事にはこんな実例も付いていましたよ。

 

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体調を崩しがちな妻が第2子を妊娠し、

育児への想いが強くなった上内健介さん(仮名、34)の実例です。

 

職場は東京都内の障害者就労支援施設で、20人ほどの小所帯。

当然、過去に男性の育休の例はなく、

学校同様、労働集約型の職場ですから、

1人欠ければ他者の負担が増すのは明らかです。

 

しかし上内さんは意を決して上司に育休取得をもちかけました。

2週間後に回答があり、認められはしたものの、

「復帰後、今の職場には戻ってこられないかもしれない」などの条件付きで、

上司も同僚も困惑している様子が目に見えたそうです。

 

 

だが上内さんは、職場の側からどんな反応や処遇があっても、歩み寄る努力をすると心に決めていた。「上司も手探りのはず。何かをなし遂げようとするときは、反対は必ずあるものだ」

とりわけ意識したのは「育休が取れるかどうかではなく、一歩踏み込んで『どう取るか』という点で具体的な話を持ちかけること」。職場と「一緒に考えていく姿勢」を忘れないようにした。

 

そんな上内さんの態度は、職場を徐々に変えた。本部の課長は「お手本になってくれてよかった」と言葉をかけてくれた。同僚の女性職員は、上内さんを引き合いに出して、自分の夫にも育休を取るよう促した。

 

上内さんは育休後、さらに男性初となる時短勤務を開始しているそうです。

 

同じことが学校でできるのか。

 

そう考えるとひるんでしまいそうですが、

こんなときこそ、「できない理由」ではなく「できる方法」を考えたいですね。

 

これからの学校という職場の魅力を高めるために。

志のある教職員がたくさん就職してくれる職場であるために。

 

(文責:吉田)

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図書館見直し 大学の魅力に

図書館・図書室は学校の中でもとても重要な場所だと私は思っています。

近年、大学の図書館がずいぶん充実してきたようですね。

日経新聞より。

 

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(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)

 

丸善雄松堂は書籍販売大手で、

全国の大学図書館の環境整備を手がけておられる会社です。

同社の専務は

大学図書館が変わり始めたのは十数年前」

大学図書館の変化は速い」

と指摘しておられます。

 

近年はアクティブラーニングへの意識が高まり、

それがラーニングコモンズの発展につながり、

結果として図書館に求められる役割が増えてきた、

という流れがあるようです。

 

図書館は蔵書数の多さで評価されることがこれまで多かったと思われますが、

今後は他の着眼点とも相まって、学校全体の魅力化に一役買いそうです。

こんな記事も一緒に掲載されていました。

 

www.nikkei.com

 

各地の大学が学生の「学び」の機能を高めようと、図書館の改革を進めている。本に接する機会を意識的に増やすため、図書館をキャンパスの中心に据えた校舎を新設したり、仲間同士で気軽に利用できる自習室などを館内に充実させたりする動きも目立つ。教育・研究の場としての図書館を時代に対応してどう位置づけるか、各大学の戦略も問われている。

 

この記事ではいくつかの大学の実例が掲載されています。

 

追手門学院大では、新設キャンパスの図書館が

どの教室からも最短距離で図書館に入れるように設計。

 

近畿大は2017年に開設した複合施設「アカデミックシアター」に、

セミナールームや24時間利用できる自習室などと併設して大規模な図書館を設置。

 

千葉大では「図書館はワイワイガヤガヤの場所」を打ち出し、ミニセミナー開催、

さらにはグループワークエリアや多人数で学べるスペースを多く設けています。

 

鶴見大では郷土資料のデジタル化に取り組むことで、

大学の課題の一つである地域連携を進め、図書館の利用拡大を目指しています。

 

ハードの整備にはお金がかかりますが、魅力的な図書館に伺うと、

そこには必ず「ソフトの工夫」があります。

まずは図書館を意識すること、そしてお金をかけずともできることから

始めてみてもいいのではないでしょうか。

 

(文責:吉田) 

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